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NPBここまでの投手運用(ローテ編成、登板間隔)~セ・リーグ

SHINGO [ 著者コラム一覧 ]

投稿日時:2011/06/21(火) 10:00rss

 今季は統一球の影響が色濃く出たシーズンとして、投手力にスポットが当る機会が多いのが特徴となっています。防御率など各種投手成績が軒並み上昇しているのは承知のことと思いますが、こと投げる立場の労働量についてはこれまでと何ら変わりが無いのも事実でしょう。(巷で言われている)投手有利なボールに変更されたからといっても、100球は100球であって120球ではありません。同じく登板間隔についても、中6日は中6日のままです。今回のリポートは、各球団の投手運用(マネジメント)が正常に行なわれているか、そして統一球のもたらす投高打低現象によって懸念が生じてくるかもしれない投手の酷使(ここではオーバーワークという言葉を使います)について昨日のパ・リーグに続いて、セ・リーグを予測、検証してみたいと思います。


1.真弓監督のマネジメントは優秀、ヤクルトに黄信号
 



 
 例年の傾向では、パ・リーグよりも登板間隔を詰めてその分イニングを少なくするチームが多かったこともありましたが、今季は長いイニングを消化する投手が目立ってきています。
 

ヤクルト(評価B)

 増渕の先発転向が成功したことはプラス、村中の故障はマイナス材料として見ていましたがここに来て由規も左脇腹の筋膜炎で登録抹消と、マイナス面が大きくなってきたので評価を一段下げました。リーグ戦再開後は石川、館山以外未知数の戦力で戦わなければならず、現在はブルペンに回っている増渕をローテーションから降格させる余裕は無いと思われます。由規、村中が復帰すると予想されている7月中旬まではファームで好投している加藤幹典、七條祐樹などを加えるか、それともブルペンに配属されて好調なバーネットを先発に戻すか、興味は尽きないところです。
 

中日(評価B+)

 豊富なコマを活用していない点での評価は下がりますが、継投策を前提としたネルソンの起用や、開幕に出遅れたチェン、吉見の両エースが復帰して軌道に乗り始めた点では今後の見通しは非常に明るいといえます。今後は6人中6日体制に戻し、投手力を全面に出した戦いで望むことでしょう。6枚目のカードを誰にするか、私個人的には長打を浴びない投球が出来る岩田をプッシュしたいと思いますが、落合監督がどう選択するのかにも注目していきたいと思います。ただし、その選択肢によって結果も大きく左右されそうなのが、投高打低シーズンの特徴ともいえます。

 
巨人(評価B)

 巨人は話題のルーキー澤村と、内海の好投が目立っています。東野を含めて3人が固定し、競争で勝ち上がった金刃が4番手、以降は流動的でした。勿体無いのは外国人のデプス(選手層)を活かしきれていない点と、朝井や藤井といった昨年の先発組をファームに落としていることなど。リーグ戦再開後は彼等の中から先発の枠を勝ち取るメンバーが出てくると予想されますが、結果に左右されないかどうかがマネジメント上の鍵になると思います。
 

阪神(評価A-)

 打線の停滞で思わぬ下位に沈んでいる阪神は、こと先発運用に関してはリーグで最も安定していました。開幕6連戦で組んだローテ投手以外の登板は6/12の安藤ただ一回のみと、実に計画的なマネジメントです。色々と非難を浴びている真弓監督ですが、チームで最も不安視されていた部分を改善している点はもっと評価されるべきです。長期戦を戦うデプスはキチンと確保し、悪戯に戦力を動かすことなく運用しているローテーションで今後の巻き返しは十分考えられるでしょう。

 
広島(評価B-)

 激しい練習光景と過去の実績から常に故障が心配される広島ですが、今季はここまでやや落ち着いた印象を受けます。セの特徴でもある「エースの登板間隔を詰める」起用法もそれほど際立っているわけではなく、どちらかといえば抑え目な運用に落ち着いているといえます。バリントンの活躍と福井の加入で3枚までは順調に稼働している状況の中、ジオと大竹を復帰させましたが大竹が打球を右手小指に当ててしまい(骨折)、再度故障者リストへ。ただでさえ苦しい台所事情の中で最悪に近い事態まで起きています。ただ、だからといって無理な起用法を試みると元の木阿弥となってしまいますから、ここはもう少しの間辛抱を続ける必要があるのではないかと思います。故障の心配が強い福井については年間イニング数や投球数を予め設定した上で起用するといったマネジメントも大事かと思います。
 

横浜(評価C+)

 開幕早々、三浦、清水、大家ら実績のあるベテラン3投手に早々と見切りを付け、4月の15試合だけで実に9人もの投手を(先発)起用しました。間隔表を見てもわかる通り、自転車操業だけでなく若手中心に切り替えた後も、十分なコマが揃わず中6日も空けることが困難な状況でしたが、5/26に加賀を中継ぎから再転向させたことでようやくコマが揃い、以降は次第に余裕が生まれてきています。よって、現時点では回復に向かっている最中ということになります。ただ、オリックスから移籍して悪戦苦闘している山本、先発としての力量に疑問があるハミルトン、新人でまだ荷が重いのではないかと思われる須田らを含んだ編成は発展の途上にあるかどうかもまだ見当はつきません。ここまで11人起用している先発スタッフは今後さらに増え、最終的には14~15名程度は試す方向に行くのではないかと予想します。
 
 
今後のローテ編成予想:
 
ヤクルト・・・・・館山、石川、増渕、山本斉、加藤、七條、赤川(由規、村中)
中日・・・・・・・チェン、吉見、ネルソン、中田賢、川井、岩田(朝倉、山井)
巨人・・・・・・・東野、内海、澤村、グライシンガー、金刃、トーレス(藤井、朝井、ゴンザレス)
阪神・・・・・・・能見、久保、岩田、スタンリッジ、メッセンジャー、下柳(安藤)
広島・・・・・・・前田健、バリントン、ジオ、福井、篠田、今村(ソリアーノ、大竹)
横浜・・・・・・・加賀、高崎、須田、ハミルトン、山本、大家(小杉、三浦、清水)
 
 
2.日程消化で苦戦するチームは?
 


 気になるところは、これからの日程が(昨年までと比較して)どのように違うのかでしょう。そこで、これまでの消化試合数と今後の予定試合数の一覧を作成してみました。明らかに違う点は、3、4、10月の消化試合数です。細かい点を探れば、月間25試合以上組まれている割合も高くなっていると思います。この中にはもちろん6試合を超える連戦も含まれていて、そうなると中6日の間隔を設けているチームは先発のコマが足りなくなる試合が増える可能性が高くなります。また、当然今後の雨天中止も想定すると、後半へのシワ寄せがペナント争いに強い影響を及ぼすかもしれません。日程上で厳しいと思われるのは西武とロッテ、連戦が長いのは日本ハム、西武、雨天中止が怖いのは楽天、広島、シワ寄せが来ると大変なのは中日と巨人といったところです。
 
各チームがこの日程をどうやって乗り切るのかも興味の焦点となるでしょう。

 

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