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先発投手のローテーション間隔について②~Part2

SHINGO [ 著者コラム一覧 ]

投稿日時:2010/12/17(金) 10:00rss

 今回は個性的なローテ編成を組む点は似ているが、その方法は正反対といわれていた2チームである広島とロッテについて前日に続き分析してみたい。

《千葉ロッテ・マリーンズ》
 

 
 5年ぶり日本一に輝いたロッテ。監督初就任にして栄誉に輝いた西村徳文監督は見事であったが、ここではあえて「バレンタインの遺産」を交えながら分析して見たい。
 
 
 2004年から6年間指揮を執ったボビー・バレンタインの采配面の中では、2プラトーン仕様の打線組み換えが最も有名ではあるが、投手編成においても6人ローテーションの徹底ぶりは勝るとも劣らない個性ぶりだったといえる。熱心で勘の鋭いファンであれば承知のことかと思うが、中6日に拘(こだわ)るのではなく「6人」にこだわっていた。誰を優先するのではなく、登板はあくまでも順番に。雨天中止があればそのままスライド。その結果として、中5日以内での起用を一度も行わなかった年が3回もあり、さらに2009年では開幕して14日目の4/16に、7人目の先発として成瀬善久を登板させてからは誰も追加しなかったのはさらに驚いた。つまり、2009年では先発の谷間が存在していなかったということになる。
 
 これは他球団から見ればうらやましい条件ともいえるが、バレンタイン政権時のマリーンズには年間フル回転が可能な投手が常に6人以上はいたと考えて良い。
 

 
 上は先発(機会)上位6名の占有率を表したものであるが、バレンタイン時代のマリーンズ先発陣は極めて安定しているものだったといえるだろう。彼らの勝敗や防御率が常に優位なものであったとはいえないが、4~5年前にフル回転していた投手がほぼ全員今でも元気に働いているのはこのチームくらいではないだろうか。そこには酷使を嫌うバレンタインの哲学ともいえる起用方針があり、大きな故障を抱えないままプロ生活を過ごしている投手たちの現状がその証明といえる。また、頭数がそろっている好条件こそあるものの、中日の項でも触れた「先発20機会以上の人数」「規定投球回数達成者人数」において両リーグトップのデータとなって現れているのも、こうした起用方法に結果が表れているのではないだろうか。
 
 酷使の話題が出てくると避けて通れないのが投球数に対する負担だが、ここでもバレンタイン時代での管理徹底ぶりが映し出されているデータがある。
 

 
 これは1試合で120球を越えたゲームでの投球数を加算したもの。144球であれば+24、122球なら+2といったようにただ単純に足していったもので、120球未満の場合はマイナスしていない。要するに、投球負担に対する監督の続投度合いを測ったものだと解釈いただければと思う。参考として、同一リーグでかつ中6日の間隔を保っているソフトバンクのデータも比較材料として載せている。
 
 このデータを見ると、バレンタイン時代におけるマリーンズ先発投手の投球数管理は一定した基準を設け、直かつ過剰ぶりを抑えていたようである。先発完投型の多いソフトバンクと比較するとなおさらそのように感じる。ただし、退団が確定していた2009年の采配では、明らかに先発を引っ張る傾向が現れた。そして西村監督となってからは、その傾向が一段と強まり王監督時代のソフトバンクと肩を並べるといっても良いラインにまで届こうとしていた。これを見るに、退陣の決まっていたバレンタインとしては次の監督でもしも先発完投を要求する人物が就任した場合に備えて、投球負担への懸念を取り除こうとしたのではないだろうか。
これはあくまでも筆者の憶測ではあるが、もしこれが真実であった場合バレンタインの置き土産として解釈しても良さそうでは無いか。
 
 ちなみにソフトバンクの方は、秋山監督になってから投球負担が軽減されている。単純に先発陣の質の差やブルペンが強力になったからという理由の方が強いと思われるが、運用面では一貫したものを感じる。
 
 いずれにしても、今季のマリーンズは再び頂上に上り詰めた。しかし、もうそろそろバレンタインの遺産もわずかになって来ると思う。先発投手のコマ不足はその表れともいえる。西村監督の手腕が今後どのように奮われるのか、見ものである。

 その意味は前回の統計資料だけでは気がつき難いことなのだが、このように年度を跨(またが)って集計したものと比べてみると一目瞭然である。ロッテといえば前監督ボビー・バレインタインの敷いた個性的なローテ編成が何といっても強烈な印象として残っている。それはブラウンのような(エースに対する)登板間隔優先とは対極的な6人編成への拘(こだわ)りだ。
 
 
上の表と冒頭の統計グラフを照らし合わせながら見ていただきたいが、それは統計グラフを見てもハッキリとお分かりいただけるだろうと思う。驚いたのは、少数精鋭ならブラウン監督も同じような対策を講じていたのだが、明らかに似て非なるもの。ローテーションの順番は絶対に変更せず、雨天中止があればそのままスライド登板の形を取り、その結果12球団では唯一、中7日登板が極めて多い結果となっている(中7日の傾向については2010年とほぼ同じと考えていただきたい)。

 こうした起用方法だと、故障者が発生した時の対応に苦労するのではないかと察してしまうが、バレンタイン監督時においてマリーンズの先発投手が大きな故障をしたのは記憶に無い。前回の日本一はもう5年も前のことになるのだが、そのころに投げていた投手たちは年齢から考えられる衰えはあっても過労による故障でマウンドを去っていった投手はちょっと見当たらない。今でも先発として活躍している渡辺俊介に、移籍した後も先発として働いている清水直行と久保康友。ブルペンへ配置換えとなったがチームを支えた小林宏之と小野晋吾と、境遇は変わってもまだプロの舞台で意気揚々と活躍する投手たちだ。
 
 これも酷使を嫌い、コンディション作りには相当な配慮をしていたとされるバレンタインならではの実績かつ功績だといえるが、その遺産を西村監督がどこまで生かせることが出来るのか。来季は興味深いチームとなりそうだ。
 

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