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クォリティ・スタート~Part2

SHINGO [ 著者コラム一覧 ]

投稿日時:2011/01/31(月) 10:00rss

 前回のコラムでQSの威力をある程度は証明出来たかと思っているが、68.50%のチーム勝率(NPB2005~2010)というのも全て平均化したものであり、各チームの事情は当然のごとく異なってくる。それと同時に、QSに関する幾つかの比率はどの程度の範囲で区切るのがよいか、合わせて検討してみたい。
 
1、チーム別年間QS率およびQS勝率一覧
 

 
 一覧はQS率を軸として並べ、QS勝率については右端の「勝率順」にて順位を補足している。参考として、年間でのリーグ内順位(★印は日本一)と年間勝率も加えてみた。
また、年間QS率のヴォリュームゾーンは以下のように分布されている。


QS率65%以上 1 1.39%
QS率60~64.99% 5 6.94%
QS率55~59.99% 13 18.06%
QS率50~54.99% 19 26.39%
QS率45~49.99% 19 26.39%
QS率40~44.99% 8 11.11%
QS率35~39.99% 5 6.94%
QS率35%以下 2 2.78%

 45~55%を中心として見事なピラミッド状態になっている。前回統計した平均値(50.27%)もそうだが、現在のNPBにおけるQS事情はこの2つの統計上によって常時1/2の確率で発生しているといっても良いだろう。
 
 そんな中、1位だった2009年巨人と2005年楽天の間には36.56%もの開きが生じており、前者については3試合でほぼ2回のQSが記録され、後者の方は3試合で1回に満たない割合となっている。この点についても、NPBの戦力格差を映し出しているデータといえよう。
 
 そしてQS勝率の方にも目を向けると、非常にランダムな並びとなっているのがお分かりいただけるだろう。QSとは先発投手の役割の他に、守備も含めたディフェンス部分の成果だと考えられるものだが、QS勝率となるとRS(ランサポート、援護点)やプルペン陣の成果も加わってくるため、当然のことながらQS率と並行するものとは限らない。QS率上位に属しながらもQS勝率が見劣りするチームは、この辺りのバランスを欠いたために勝ちゲームを落としてきた理由が潜んでいると考えることが出来、また、QS率は下位なのにQS勝率が上位というチームも幾つかの原因によりバランスを失った戦いを強いられてきた可能性が強い。

 
2、QSに強いチーム
 

 
 今度は6年間のトータルでチーム別QS勝率とQS率を追いかけてみよう。
表はQS勝率を軸としている。QS率のチーム順位は右隣、そしてQシェア率と題し、全体勝利数(2005~2010年までの勝利数合計)の中にQSを達成した試合がどの程度含まれていたかという割合を出してみた。そして、そのチーム順位も載せている。6年もの間にチームカラーが変化しているところもあると思うが、それぞれの特徴を見て楽しんでいただきたい。
 
 結果として、QSに最も強いチームは西武となった。シェア率もトップなので、このチームにとってQSがいかに大事な要素なのかが理解出来る内容だといえる。ここでイメージ出来るのは「先発完投スタイル」と「ブルペンに不安要素」の2点と、ある意味オーソドックスなチームであるが、熱心に分析してみたいと思う方はぜひ参考にしていただきたいと思う。
 
 ソフトバンクは、かつての先発完投型と昨季のブルペン主導型のカラーが入り交じっている分、数値は読み難い。中日は6年間のQS勝利数が両リーグトップであるが、パ・リーグとの試合総数(セの868試合に対しパは848試合)の関係で首位を譲った。それでもセではトップ水準。巨人はRSの影響を感じる。
 
 阪神は個性的な数値で、QS勝利のシェアがかなり低い。これもJFKを代表としたブルペン陣の力に頼ることが大きかったせいであろう。ロッテはQS率がトップでシェア率も高かったが、若干の差でQS勝率が後塵(こうじん)を拝した。日本ハムは、ダルビッシュの影響抜きには考えられないチームなので、彼を抜いた数字についても興味が走る。
 
 オリックス、楽天は投手力の底上げに着手している発展途上中のチームともいえるので、今後の数値アップに期待がもてそう。ヤクルトはやはり打線か、と思えるような傾向。広島は黒田、ルイス、前田健の活躍時期が重なっていない点が惜しまれる。横浜については全ての点において力量不足を感じてしまう結果となってしまった。
 
 ここでいったんまとめてみると、QS勝率については「平均以上」「平均以下」「横浜」3つのグループに分けて考えられる。平均以上のグループは、阪神のようにQS率のあまり高くないケースも含めて勝てるバランスの整ったチームといえる。平均以下のグループは長所を持っていないか、あるいは長所が短所を補えるだけのものではなかったという推測も出来るであろうか。
 
 横浜については、近年でもタイトルホルダーを輩出するようなチームにも関わらず、チームとしての戦い方に疑問を感じてしまう。他チームなら最低でも5割確保が可能なQS勝率も、ここ3年間は全て負け越している(2008年21勝22敗2分、2009年29勝39敗、2010年31勝32敗)。データに強いとされる尾花監督を招聘(しょうへい)して一年が過ぎたが、明るい兆しはまだ見えて来ない。
 
 
 今回のおさらいとして、「QS勝率はQSからもたらされるものではない」という曖昧な主張となってしまったかもしれないが、QSとはあくまでも平均値のゲームメイキングであり、そこから発展する「何か」がより勝利に結び付ける強い要素だとイメージした方が良さそうではある。しかし、QSほど「何か」を呼び込めるプレーが他にあるだろうか。それを裏付けるものがQS勝利ではないかと、今の時点ではこう考えている。
 
次回は、投手別QSデータの紹介を予定。

コメント

みんなの評価:3stars-3-0.gif

 クオリティスタートにはなりにくいが、一度なれば勝ちやすし、ですか……むむむ。
 ま、阪神らしくはありますーー;

 野球にはいわゆる先制攻撃力みたいなのはないので、単純に攻撃力の高いチームがQSを活かしやすくはありますが、対戦チームのQS達成率が低ければ、相対的に先制したことにはなるのかなと。攻撃力と相互に補完しあう関係になれそうです。

 QS勝率の結果を踏まえて、リリーフが弱いとあれば、多少攻撃力を犠牲にしても、球数を取りに行くべきなのか(あるいは、どのぐらいのバランスなら許されるのか)というのも答えが出そうですね。
 6回まで粘られたけど3点取ったor2点しか取れなかったけど5回で降ろしたの価値はリリーフによって変わってきますし。



 QS達成以後に続投した先発投手は、7回からは先発の仕事から切り離して、再度リリーフとして評価する、というのも目的からすればアリかも知れませんね。今度は勝利を確定する仕事に移行と。
 エースクラスの先発投手なら、7イニング目以降でも、並みのリリーフ投手よりいい仕事しますしねぇーー;

評価:stars-3-0.gif Posted by せるふぃむ at 2011/02/09 00:37:08 PASS:

QS勝率はその中味を分類することでチームの戦い方(勝ちパターン)がどんなものかを知るキッカケにでもなってくれれば嬉しいですね。シンプルに特徴を掴みたいと思う人であれば<先発・救援・打線>と考えても良いですし、引き出しの多いチームほど勝率も上がる訳ですしね。

>7回からは先発の仕事から切り離して、再度リリーフとして評価する

これは妙案だと思いますね。NPBでもMLBでも先発の仕事は6回までが一区切りだと思っていますので、そうしたアイデアが新しい評価軸になるとしたらまた楽しみが増えそうです。

Posted by SHINGO at 2011/02/10 18:58:44 PASS:
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