重要な場面を計る ~Leverage Index~Part2
大里隆也 [ 著者コラム一覧 ]
1、はじめに
今回はコラム「重要な場面を計る~Leverage Index~」で取り上げたLeverage Indexを実際の試合に当てはめる。Leverage Index(以下、LIと略)とは場面の重要性を数値化した指標で、今回のコラムの目的はこの指標の意義と有効性を伝えることである。しかしながら、この方法が必ず正しいことを言いたいのではなく、あくまで重要な場面を評価する一つの方法として提案しているだけである。新しい試合の見方として考えていただければ幸いである。
2、日本シリーズ第四戦でみるLeverage Indexの有効性
当てはめるのは2010年度日本シリーズ中日対ロッテ第四戦とする。この第四戦は、ロッテが先制しすぐさま中日が追いつき、延長の末中日が勝利した試合である。この試合を選択したのは、終盤お互い勝ち越しのチャンスを作ったが得点できないシーンが多くみられたため、LIの値が大きく変化するからである。
今回はLIの有効性の説明をメインにするが、他の日本シリーズの試合についてもLIの推移を見る。ただし、細かい試合の内容についてはここで触れないため、NPBのサイトなどを見てほしい。
第四戦にLIを当てはめていくが、まず第四戦がどのような試合だったかを考える。第四戦のランニングスコアは次のようになっている。

5回から10回まで無得点で得点表からはうかがい知れないが、8回表から11回表まで毎回得点圏に走者を進めた非常に緊迫した試合になっている。次の表は終盤で得点圏まで走者が進塁した状況とその時の打撃結果をまとめたものである。

試合終盤でこれほど勝ち越す機会があったのだから、第四戦は重要な場面が多い試合であったといえる。
では、第四戦にLIを当てはめる。次の図はLIの値と点差をまとめてひとつにしたものである。青い棒グラフで中日攻撃時のLI、灰色棒グラフでロッテ攻撃時のLI、赤い折れ線グラフで点差(ロッテ-中日)をそれぞれ表していて、特徴的な棒グラフにはその状況と打者名を示している。


図からLIの有効性について考えていく。8回から11回にかけてLIが高いところが上記の得点圏の状況と一致していることと、5回と6回のチャンスにもLIがしっかり反応していることから、LIが場面の重要性を表現できていることが分かる。
しかし、ロッテが得点をあげた3回裏のLIが高くなっていないことに疑問を感じる方もいるかもしれないので、この状況が高くならない理由を説明していく。3回裏の得点方法は1アウト2塁から西岡の二塁打と、2アウト2塁から井口の本塁打である。LIはその状況が潜在的に持っている得点の可能性と勝率の変化量を評価している。この場合、走者2塁は大きな得点の可能性が低く、試合も序盤なので1点での勝率の変化量も大きくない。そのため、3回裏のLIの値は高くならないのである。LIは結果的に得点をしたかどうかは関係なく、得点しても必ず重要な場面になるとは限らないのである。
以上から、LIが場面の重要性を正しく計っていることが分かった。
3、日本シリーズでみるLeverage Indexの意味
最後に、日本シリーズの他の試合にもLIの推移を示す。以下でその図を示すが、重要な場面ではLIが高くなっていることが見られる。ただし、今回のLIは点差を±6点の範囲で算出している。これ以上の点差のLIは、勝率の変化量が非常に少ないと考えたため、全て0としている。














ランニングスコアやLIの高さから第六戦や第七戦も第四戦と同等の緊迫した試合になっている。第六戦と第七戦はともに中日が勝ち越せる機会が多かったが、結果は、第六戦が「引き分け」、第七戦が「敗北」となっている。何度もピンチを切り抜けたロッテのすさまじい“粘り勝ち”であったことが分かる。
この様にLIはただ重要な場面を理解するだけではなく、ランニングスコアには表せられない試合の流れを理解することが出来る。今後、このLIを天王山と呼ばれるような重要な試合に当てはめ、また新たなコラムで見ていく。
今回はコラム「重要な場面を計る~Leverage Index~」で取り上げたLeverage Indexを実際の試合に当てはめる。Leverage Index(以下、LIと略)とは場面の重要性を数値化した指標で、今回のコラムの目的はこの指標の意義と有効性を伝えることである。しかしながら、この方法が必ず正しいことを言いたいのではなく、あくまで重要な場面を評価する一つの方法として提案しているだけである。新しい試合の見方として考えていただければ幸いである。
2、日本シリーズ第四戦でみるLeverage Indexの有効性
当てはめるのは2010年度日本シリーズ中日対ロッテ第四戦とする。この第四戦は、ロッテが先制しすぐさま中日が追いつき、延長の末中日が勝利した試合である。この試合を選択したのは、終盤お互い勝ち越しのチャンスを作ったが得点できないシーンが多くみられたため、LIの値が大きく変化するからである。
今回はLIの有効性の説明をメインにするが、他の日本シリーズの試合についてもLIの推移を見る。ただし、細かい試合の内容についてはここで触れないため、NPBのサイトなどを見てほしい。
第四戦にLIを当てはめていくが、まず第四戦がどのような試合だったかを考える。第四戦のランニングスコアは次のようになっている。
5回から10回まで無得点で得点表からはうかがい知れないが、8回表から11回表まで毎回得点圏に走者を進めた非常に緊迫した試合になっている。次の表は終盤で得点圏まで走者が進塁した状況とその時の打撃結果をまとめたものである。
試合終盤でこれほど勝ち越す機会があったのだから、第四戦は重要な場面が多い試合であったといえる。
では、第四戦にLIを当てはめる。次の図はLIの値と点差をまとめてひとつにしたものである。青い棒グラフで中日攻撃時のLI、灰色棒グラフでロッテ攻撃時のLI、赤い折れ線グラフで点差(ロッテ-中日)をそれぞれ表していて、特徴的な棒グラフにはその状況と打者名を示している。
図からLIの有効性について考えていく。8回から11回にかけてLIが高いところが上記の得点圏の状況と一致していることと、5回と6回のチャンスにもLIがしっかり反応していることから、LIが場面の重要性を表現できていることが分かる。
しかし、ロッテが得点をあげた3回裏のLIが高くなっていないことに疑問を感じる方もいるかもしれないので、この状況が高くならない理由を説明していく。3回裏の得点方法は1アウト2塁から西岡の二塁打と、2アウト2塁から井口の本塁打である。LIはその状況が潜在的に持っている得点の可能性と勝率の変化量を評価している。この場合、走者2塁は大きな得点の可能性が低く、試合も序盤なので1点での勝率の変化量も大きくない。そのため、3回裏のLIの値は高くならないのである。LIは結果的に得点をしたかどうかは関係なく、得点しても必ず重要な場面になるとは限らないのである。
以上から、LIが場面の重要性を正しく計っていることが分かった。
3、日本シリーズでみるLeverage Indexの意味
最後に、日本シリーズの他の試合にもLIの推移を示す。以下でその図を示すが、重要な場面ではLIが高くなっていることが見られる。ただし、今回のLIは点差を±6点の範囲で算出している。これ以上の点差のLIは、勝率の変化量が非常に少ないと考えたため、全て0としている。
ランニングスコアやLIの高さから第六戦や第七戦も第四戦と同等の緊迫した試合になっている。第六戦と第七戦はともに中日が勝ち越せる機会が多かったが、結果は、第六戦が「引き分け」、第七戦が「敗北」となっている。何度もピンチを切り抜けたロッテのすさまじい“粘り勝ち”であったことが分かる。
この様にLIはただ重要な場面を理解するだけではなく、ランニングスコアには表せられない試合の流れを理解することが出来る。今後、このLIを天王山と呼ばれるような重要な試合に当てはめ、また新たなコラムで見ていく。
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野球を客観視した独自の論評、分析、および研究を特徴として、野球に関するさまざまな考察をしています。
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