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打者との対戦成績から見る投手の特徴~Part1

Student [ 著者コラム一覧 ]

投稿日時:2011/04/25(月) 10:00rss

 「あの投手は打たせて取るタイプだ」といった投手の特徴の捉え方はよくされますが,データを見てみると,打たせて取るタイプだと思っていた投手が案外三振を取っていたりすることもあります。
 
 こうした投手の分類と実際のデータとの食い違いを,ああでもないこうでもないと議論することも野球の1つの魅力ではありますが,今回はこうした投手の特徴を客観的に捉えることができないだろうか?ということをテーマとして検証していきたいと思います。
 
 
1.打者との対戦成績から見た投手の成績
 
 投手の特徴を表すデータは山ほどありますが,今回は打者との対戦成績という観点から考えていきたいと思います。投手と打者の対戦成績は概ねいかの6種類の結果に終わります。
 
・三振                                          ・ゴロ
・四死球                                       ・フライ
・本塁打                                       ・ライナー
 
 ヒットになるか,アウトになるかを別にしてこれらのデータの多寡によって投手の特徴を捉えていきたいと思います。
 
 
分析データ
 
 2008年から2010年までのNPB12球団で1軍の試合に登板し,年間100打者以上との対戦成績のある552名を分析対象者としました。分析にあたって各選手の以下のデータを使用しました。
 
・三振:(奪三振)÷(対戦打者数)
・四死球:{与四死球(敬遠を除く)}÷(対戦打者数)
・本塁打:(被本塁打)÷(対戦打者数)
・ゴロ:(ゴロ)÷(対戦打者数)
・フライ:(フライ-被本塁打)÷(対戦打者数)
・ライナー:(ライナー)÷(対戦打者数)
 
参考までにこれらのデータを用いて,2010年のダルビッシュ選手と岩隈選手の成績を表してみました。データを図1に示します。
 

 
 打者との対戦成績がそれぞれ何%を占めているかを見て取ることができます。このデータから見るに,ダルビッシュ選手と岩隈選手の違いは三振とゴロの数にありそうです。
 
 
分析の結果
 
以下,分析の結果を示していきます。
 
基礎統計
 
まずは,基礎的な統計値として各データの平均値,標準偏差,最小値,最大値を表1に示します。
 

このデータでどうこう言うことはないのですが,一応基本的な情報なので示しておきます。
 
 
2.各データの関係性
 
 次に,これら6つのデータの関係を整理しておきます。6つのデータから2つを選び相関関係を分析してみました。全てのデータを図示するには頁が足りないので,一部の結果を図示し,残りは一覧で示します。
 
まずは本塁打とフライの関係を図2-1に示します。
 

 ※図の値は各データを偏差値にしたものを示してあります。
 
 この結果は,フライの多い投手が本塁打も多いことを示しています。続いて,ゴロとフライの関係を図2-2に示します。
 

 
 この結果は,フライの多い投手はゴロが少ないことを示しています。最後に三振と四死球の関係を図2-3に示します。
 

 
 この結果は,三振が多い投手の中には,四死球の多い投手も少ない投手もいることを示しています。個人的には,三振をたくさん取る投手はその分制球力に欠けるような印象があったのですが,両立している投手もいるということがわかりました。
 
 相関係数について少し,今回の分析では2つのデータの関係性を見るのに相関係数を算出しています。相関係数は概ね上で紹介した3つのパターンに分かれます。
 
 一方が増加すると,他方も増加する関係を正の相関関係と言います。図を描くとデータが右上がりの分布になります。このとき相関係数は0から1までの値をとり,1に近づくほど関係が強固になります。逆に,一方が増加すると,他方は減少する関係を負の相関関係と言います。図を描くとデータが右下がりの分布になります。このとき相関係数は0から-1までの値をとり,-1に近づくほど関係が強固になります。最後に相関がなかった場合ですが,これは三振と四死球の関係で見られたようにデータの分布が円形に近づきます。
 
さて,以上のような相関係数の性質を踏まえてもらった上で,データ間の関係の一覧を表2に示します。
 

 
 三振と四死球の間に相関関係はありませんでしたが,三振とゴロの間には負の相関関係があり,三振の多い投手はゴロが少ないことがわかります。図1で示した2010年のダルビッシュ選手と岩隈選手の成績もこれを反映していますね。
 
 さて,データ間の関係性を確認できたところで,これらのデータを用いて投手を分類していきたいところですが,話が長くなってきたので分類は次回とさせていただきます。
 
文中敬称略
 

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