打者との対戦成績から見る投手の特徴~Part2
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前回,投手をその特徴によって分類するために,打者との対戦成績から6つのデータ(三振,四死球,本塁打,ゴロ,フライ,ライナー)を用意しました。今回はそのデータを使って投手を分類していきたいと思います。
1.分類について
さて,分類をしていくにもいろいろ方法があるのですが,まずは1例として図3を示します。

この図は前回の図2-3に,三振と四死球の平均値にラインを加えたものです。図中の破線がそれにあたります。この破線を基準として,データを以下4つのグループに分けることができます。
・四死球:少 & 三振:少 ・四死球:少 & 三振:多
・四死球:多 & 三振:少 ・四死球:多 & 三振:多
扱うデータがこの2つだけであればこの分類方法でも大丈夫なのですが,困ったことに考慮しなくてはならないデータはあと4つあります。図3は2つのデータを,平均値の高低で分けたので2×2の4通りですみました。しかし,これが6つになると2の6乗ですから64通りにもなってしまいます。こんなに増えてしまっては,仮に分類できても細かすぎて理解が難しくなってしまいます。
というわけで,今回はクラスター分析という統計解析法を用いることにしました。詳しい説明は省きますが,データから似たもの同士をまとめてくれる便利な方法です。また,選手間で似ているかどうかの判断は,数学的な基準を持ってなされるため,この分析による分類は客観的な結果ということができます。
結論から言うとこの分類方法によって選手を6つのグループに分けることができました。ただし,似たもの同士が集められただけで,それぞれのグループがどのような特徴を持っているのかはわかりません。以降は,各グループの特徴を見ていきながら,名前をつけていきたいと思います。
2.分析の結果
各グループの特徴を図4-1と図4-2に示します。詳しいデータの一覧を表3に示します。



※図の値はデータを偏差値にしたものを示してあります。
以下,各グループの特徴を見ながら命名していきます。
グループ1:このグループは,三振がやや多いものの全体的に見て平均レベルの成績なので,「平均型」と名付けることにします。
グループ2:このグループは,三振が多くフライが少ないことから,「三振型」と名付けることにします。
グループ3:このグループは,三振とフライが多いことから,「三振・フライ型」と名付けることにします。
グループ4:このグループは,フライが多いことから,「フライ型」と名付けることにします。
グループ5:このグループは,ゴロが多いことから,「ゴロ型」と名付けることにします。
グループ6:このグループは,ゴロが多くフライが少ないことから,「ゴロ・フライ少型」と名付けることにします。
以上のような名前をつけてみました。グループの名称の一覧を表4に示します。

補足として各グループの人数も示しておきます。平均型とフライ型の人数が多いです。これらのグループにどんな選手が属しているかを全て示すことはできませんが,3年連続で同じグループにいる投手の名前を示したいと思います。
・平均型:久保康友(M/T),石井一久(L),大隣憲司(H),中田賢一(D)
・三振型:クルーン(G),ダルビッシュ(F)
・三振・フライ多型:ホールトン(H),成瀬善久(M),藤川球児(T)
・フライ型:山本昌(D),大沼幸二(L),長谷川昌幸(C/Bs),長谷部康平(E),渡辺俊介(M)
・ゴロⅠ型:安藤優也(T),館山昌平(S),清水直行(M/YB),石川雅規(S),武田勝(F)
・ゴロ・フライ少型:岩隈久志(E),岩瀬仁紀(D),帆足和幸(L)
※掲載順は順不同,敬称は略させていただきました。
3.まとめ
さて,一般に投手の特徴としては,「打たせて取るタイプ」や「三振の取れるタイプ」という分類がなされることが多いと思います。今回の分析の結果は,三振とゴロを軸にしてグループの特徴が表れていたことから,それに近い結果だったと言るのではないでしょうか。
しかし,従来の「打たせて取る」・「三振の取れる」では捉えきれない特徴も見ることができました。
まず,「三振の取れる」タイプの中にも,フライの少ない「三振型」と,フライの多い「三振・フライ型」の投手がいることがわかりました。また,ゴロの多い「打たせて取る」タイプにも,フライの少ない「ゴロ・フライ少型」と,フライの数は平均並みの「ゴロ型」がいることがわかりました。このように,私たちが一般に言う,「打たせて取るタイプ」や「三振の取れるタイプ」の中にも,微妙にタイプが異なる投手がいるようです。
さらに,フライが多いことから,「フライ型」の投手もいましたが,話題にはなりませんがそういう投手もいるんですね,といったところでしょうか。
話が長くなってきましたので,次回はこれらの投手の成績(ヒットの打たれ易さや防御率)がどうなっているかを分析していきたいと思います。
1.分類について
さて,分類をしていくにもいろいろ方法があるのですが,まずは1例として図3を示します。

この図は前回の図2-3に,三振と四死球の平均値にラインを加えたものです。図中の破線がそれにあたります。この破線を基準として,データを以下4つのグループに分けることができます。
・四死球:少 & 三振:少 ・四死球:少 & 三振:多
・四死球:多 & 三振:少 ・四死球:多 & 三振:多
扱うデータがこの2つだけであればこの分類方法でも大丈夫なのですが,困ったことに考慮しなくてはならないデータはあと4つあります。図3は2つのデータを,平均値の高低で分けたので2×2の4通りですみました。しかし,これが6つになると2の6乗ですから64通りにもなってしまいます。こんなに増えてしまっては,仮に分類できても細かすぎて理解が難しくなってしまいます。
というわけで,今回はクラスター分析という統計解析法を用いることにしました。詳しい説明は省きますが,データから似たもの同士をまとめてくれる便利な方法です。また,選手間で似ているかどうかの判断は,数学的な基準を持ってなされるため,この分析による分類は客観的な結果ということができます。
結論から言うとこの分類方法によって選手を6つのグループに分けることができました。ただし,似たもの同士が集められただけで,それぞれのグループがどのような特徴を持っているのかはわかりません。以降は,各グループの特徴を見ていきながら,名前をつけていきたいと思います。
2.分析の結果
各グループの特徴を図4-1と図4-2に示します。詳しいデータの一覧を表3に示します。



※図の値はデータを偏差値にしたものを示してあります。
以下,各グループの特徴を見ながら命名していきます。
グループ1:このグループは,三振がやや多いものの全体的に見て平均レベルの成績なので,「平均型」と名付けることにします。
グループ2:このグループは,三振が多くフライが少ないことから,「三振型」と名付けることにします。
グループ3:このグループは,三振とフライが多いことから,「三振・フライ型」と名付けることにします。
グループ4:このグループは,フライが多いことから,「フライ型」と名付けることにします。
グループ5:このグループは,ゴロが多いことから,「ゴロ型」と名付けることにします。
グループ6:このグループは,ゴロが多くフライが少ないことから,「ゴロ・フライ少型」と名付けることにします。
以上のような名前をつけてみました。グループの名称の一覧を表4に示します。

補足として各グループの人数も示しておきます。平均型とフライ型の人数が多いです。これらのグループにどんな選手が属しているかを全て示すことはできませんが,3年連続で同じグループにいる投手の名前を示したいと思います。
・平均型:久保康友(M/T),石井一久(L),大隣憲司(H),中田賢一(D)
・三振型:クルーン(G),ダルビッシュ(F)
・三振・フライ多型:ホールトン(H),成瀬善久(M),藤川球児(T)
・フライ型:山本昌(D),大沼幸二(L),長谷川昌幸(C/Bs),長谷部康平(E),渡辺俊介(M)
・ゴロⅠ型:安藤優也(T),館山昌平(S),清水直行(M/YB),石川雅規(S),武田勝(F)
・ゴロ・フライ少型:岩隈久志(E),岩瀬仁紀(D),帆足和幸(L)
※掲載順は順不同,敬称は略させていただきました。
3.まとめ
さて,一般に投手の特徴としては,「打たせて取るタイプ」や「三振の取れるタイプ」という分類がなされることが多いと思います。今回の分析の結果は,三振とゴロを軸にしてグループの特徴が表れていたことから,それに近い結果だったと言るのではないでしょうか。
しかし,従来の「打たせて取る」・「三振の取れる」では捉えきれない特徴も見ることができました。
まず,「三振の取れる」タイプの中にも,フライの少ない「三振型」と,フライの多い「三振・フライ型」の投手がいることがわかりました。また,ゴロの多い「打たせて取る」タイプにも,フライの少ない「ゴロ・フライ少型」と,フライの数は平均並みの「ゴロ型」がいることがわかりました。このように,私たちが一般に言う,「打たせて取るタイプ」や「三振の取れるタイプ」の中にも,微妙にタイプが異なる投手がいるようです。
さらに,フライが多いことから,「フライ型」の投手もいましたが,話題にはなりませんがそういう投手もいるんですね,といったところでしょうか。
話が長くなってきましたので,次回はこれらの投手の成績(ヒットの打たれ易さや防御率)がどうなっているかを分析していきたいと思います。
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野球を客観視した独自の論評、分析、および研究を特徴として、野球に関するさまざまな考察をしています。
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