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打者との対戦成績から見る投手の特徴~Part2

Student [ 著者コラム一覧 ]

投稿日時:2011/04/27(水) 10:00rss

 前回,投手をその特徴によって分類するために,打者との対戦成績から6つのデータ(三振,四死球,本塁打,ゴロ,フライ,ライナー)を用意しました。今回はそのデータを使って投手を分類していきたいと思います。
 
 
1.分類について
 
さて,分類をしていくにもいろいろ方法があるのですが,まずは1例として図3を示します。
 

 
 この図は前回の図2-3に,三振と四死球の平均値にラインを加えたものです。図中の破線がそれにあたります。この破線を基準として,データを以下4つのグループに分けることができます。
 
・四死球:少 & 三振:少                         ・四死球:少 & 三振:多
・四死球:多 & 三振:少                         ・四死球:多 & 三振:多
 
 扱うデータがこの2つだけであればこの分類方法でも大丈夫なのですが,困ったことに考慮しなくてはならないデータはあと4つあります。図3は2つのデータを,平均値の高低で分けたので2×2の4通りですみました。しかし,これが6つになると2の6乗ですから64通りにもなってしまいます。こんなに増えてしまっては,仮に分類できても細かすぎて理解が難しくなってしまいます。
 
 というわけで,今回はクラスター分析という統計解析法を用いることにしました。詳しい説明は省きますが,データから似たもの同士をまとめてくれる便利な方法です。また,選手間で似ているかどうかの判断は,数学的な基準を持ってなされるため,この分析による分類は客観的な結果ということができます。
 
 結論から言うとこの分類方法によって選手を6つのグループに分けることができました。ただし,似たもの同士が集められただけで,それぞれのグループがどのような特徴を持っているのかはわかりません。以降は,各グループの特徴を見ていきながら,名前をつけていきたいと思います。
 
 
2.分析の結果
 
各グループの特徴を図4-1と図4-2に示します。詳しいデータの一覧を表3に示します。
 

 

 
※図の値はデータを偏差値にしたものを示してあります。
 
以下,各グループの特徴を見ながら命名していきます。
 
グループ1:このグループは,三振がやや多いものの全体的に見て平均レベルの成績なので,「平均型」と名付けることにします。
 
グループ2:このグループは,三振が多くフライが少ないことから,「三振型」と名付けることにします。
 
グループ3:このグループは,三振とフライが多いことから,「三振・フライ型」と名付けることにします。
 
グループ4:このグループは,フライが多いことから,「フライ型」と名付けることにします。
 
グループ5:このグループは,ゴロが多いことから,「ゴロ型」と名付けることにします。
 
グループ6:このグループは,ゴロが多くフライが少ないことから,「ゴロ・フライ少型」と名付けることにします。
 
以上のような名前をつけてみました。グループの名称の一覧を表4に示します。
 

 
 補足として各グループの人数も示しておきます。平均型とフライ型の人数が多いです。これらのグループにどんな選手が属しているかを全て示すことはできませんが,3年連続で同じグループにいる投手の名前を示したいと思います。
 
・平均型:久保康友(M/T),石井一久(L),大隣憲司(H),中田賢一(D)
・三振型:クルーン(G),ダルビッシュ(F)
・三振・フライ多型:ホールトン(H),成瀬善久(M),藤川球児(T)
・フライ型:山本昌(D),大沼幸二(L),長谷川昌幸(C/Bs),長谷部康平(E),渡辺俊介(M)
・ゴロⅠ型:安藤優也(T),館山昌平(S),清水直行(M/YB),石川雅規(S),武田勝(F)
・ゴロ・フライ少型:岩隈久志(E),岩瀬仁紀(D),帆足和幸(L)
 
※掲載順は順不同,敬称は略させていただきました。
 
 
3.まとめ
 
 さて,一般に投手の特徴としては,「打たせて取るタイプ」や「三振の取れるタイプ」という分類がなされることが多いと思います。今回の分析の結果は,三振とゴロを軸にしてグループの特徴が表れていたことから,それに近い結果だったと言るのではないでしょうか。
 
しかし,従来の「打たせて取る」・「三振の取れる」では捉えきれない特徴も見ることができました。
 
 まず,「三振の取れる」タイプの中にも,フライの少ない「三振型」と,フライの多い「三振・フライ型」の投手がいることがわかりました。また,ゴロの多い「打たせて取る」タイプにも,フライの少ない「ゴロ・フライ少型」と,フライの数は平均並みの「ゴロ型」がいることがわかりました。このように,私たちが一般に言う,「打たせて取るタイプ」や「三振の取れるタイプ」の中にも,微妙にタイプが異なる投手がいるようです。
 
 さらに,フライが多いことから,「フライ型」の投手もいましたが,話題にはなりませんがそういう投手もいるんですね,といったところでしょうか。
 
 話が長くなってきましたので,次回はこれらの投手の成績(ヒットの打たれ易さや防御率)がどうなっているかを分析していきたいと思います。

 

コメント

みんなの評価:5stars-5-0.gif

BABIPやDIPSなど、インプレー打球がアウトになるかは運次第といわれることもありますが、
実際に「ゴロを打たせて取る投手」と称される人がいるわけで、単純に運と切って捨てるのにもどかしさを感じていました。
そういった投手の傾向を明らかにするこの分析は興味深く、続きも非常に楽しみです。


ところで、
>グループ2:このグループは,三振が多くゴロが少ないことから,
ゴロが少ない ではなく フライが少ない
>ゴロの多い「打たせて取る」タイプにも,フライの少ない「ゴロ・フライ少型」と,フライの数は平均並みの「フライ型」
この「フライ型」は「ゴロ型」の誤りではないでしょうか

評価:stars-5-0.gif Posted by tak at 2011/04/27 20:27:27 PASS:

Studentさんのブログの方も拝見させて頂いています。
今回は投手の分類ということで、非常に興味深いですね。

この分類を見て気になったのは、同じ6つのデータを打者側の視点から見た場合にどのような分類になるのかが気になりました。
私のイメージでは「本塁打・フライ・三振型」「ゴロ型」「四球・三振少型」等に分かれそうな気がしています。
もし機会があれば調査して頂けると幸いです。

評価:stars-5-0.gif Posted by syo at 2011/04/27 21:49:38 PASS:

tak様

 ご指摘いただいたところは私のミスです。申し訳ありません。
 基本的に不注意な人間なのです。以後気をつけます。


syo様

 ご指摘の可能性は、長打型・単打型・出塁率が高いタイプのような形で想定されているのでしょうか?おそらくそのような感じで分かれるのではしょうか。

 こうやって仮説を立てるのって面白いですよね。仮説通りの結果になっても良し、仮説を覆すような結果になってもそれはそれで面白いわけですから。

Posted by Student at 2011/04/28 01:05:42 PASS:
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