打者との対戦成績から分類した投手の成績の比較
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前回の分析で,投手の打者との対戦成績(本塁打・四死球・三振・ゴロ・フライ・ライナー)を元に,6つのグループに分類しました。今回はそれらのグループの成績を比較していきたいと思います。
分類したグループの名前と略式名称を表1に示します。

これらのグループの特徴を表2に示します。

このデータをグラフ化したものを図1に示します。

各グループ打者との対戦成績の割合が見て取れると思います。この図からわかるのは,本塁打・四死球・ライナーの割合はグループ間で大差はなく,各グループの特徴は,三振・ゴロ・フライの割合によって特徴付けられていることがわかります。
成績の比較
では,6つのグループの成績を比較していきたいと思います。比較するデータは,防御率と被打率を用いました。
各グループの防御率と被打率の平均値を表3に示します。

これらのデータから,防御率のデータをグラフ化したものを図2-1に示します。

この図は,各グループの防御率が表3に示した平均値からどれくらい差があるのかを示したものです。バーに色がついているグループとついていないグループがありますが,
・色のついているグループは,平均値と(統計的に)比較して大きいor 小さい
・色のついていないグループは,平均値と(統計的に)比較して変わりがない(誤差の範囲)
ということを示しています。色のないグループは平均並みで,色のついているグループは平均以上に大きいか小さいと思っていただければ大丈夫です。
続いて,被打率のデータをグラフ化したものを図2-2に示します。

この図の見方も基本的に図2-1と同じです。
防御率も被打率も同じような結果となりました。結果をまとめると,
・平均型は,成績も平均並み。
・三振型(Ⅰ型・Ⅱ型)は,防御率も被打率も平均より低く,成績は優秀。
・フライ型は,防御率も被打率も平均より高く,成績は悪い。
・ゴロ型(Ⅰ型・Ⅱ型)は,平均並みの成績。
という結果になります。
考えてみれば当たり前の結果ともいえますが,三振のたくさん取れる投手はヒットを打たれる可能性が低く,失点する可能性も低い。ゴロを多く取る投手は,三振の取れる投手よりは,ヒットを打たれやすく,失点もしやすいということがわかりました。
一番の注目点は,普段議論されることが少ない,「フライの多い」投手です。前回の分析で,フライの多い投手は本塁打が多いことがわかっていたので,大体予想はついていましたが,やはりその成績は悪いものでした。
このように,投手の打者との対戦成績,特に三振・ゴロ・フライの割合に着目していくことで,投手の成績に差が出てくることがわかりました。しかしながら,三振型にもゴロ型の投手にもそれぞれ,2つのタイプ(Ⅰ型・Ⅱ型)があるのですが,Ⅰ型・Ⅱ型のタイプの間には成績に差が認められませんでした。
このようなタイプの違いは,投手の大きな分類をした際のちょっとした個性に過ぎないのでしょうか?そうであれば,投手のタイプを論じる際にあまり気にしなくても良いと思います。しかし,今回の分析ではグループの平均値を比較しただけですので,この件に関しては次回以降もう少し詳しく分析してみたいと思います。
最後に,今回の投手の分類によってできた6つのグループが,各チームにどれくらい所属しているかを示してみたいと思います。この分類によってチームの投手力がどの程度反映できているかどうかは,このコラムを読んでくださっている皆様で判断していただけると助かります。



分析データ
2008年から2010年までのNPB12球団で1軍の試合に登板し,年間100名以上の対戦成績のある552名。
分類したグループの名前と略式名称を表1に示します。

これらのグループの特徴を表2に示します。

このデータをグラフ化したものを図1に示します。

各グループ打者との対戦成績の割合が見て取れると思います。この図からわかるのは,本塁打・四死球・ライナーの割合はグループ間で大差はなく,各グループの特徴は,三振・ゴロ・フライの割合によって特徴付けられていることがわかります。
成績の比較
では,6つのグループの成績を比較していきたいと思います。比較するデータは,防御率と被打率を用いました。
各グループの防御率と被打率の平均値を表3に示します。

これらのデータから,防御率のデータをグラフ化したものを図2-1に示します。

この図は,各グループの防御率が表3に示した平均値からどれくらい差があるのかを示したものです。バーに色がついているグループとついていないグループがありますが,
・色のついているグループは,平均値と(統計的に)比較して大きいor 小さい
・色のついていないグループは,平均値と(統計的に)比較して変わりがない(誤差の範囲)
ということを示しています。色のないグループは平均並みで,色のついているグループは平均以上に大きいか小さいと思っていただければ大丈夫です。
続いて,被打率のデータをグラフ化したものを図2-2に示します。

この図の見方も基本的に図2-1と同じです。
防御率も被打率も同じような結果となりました。結果をまとめると,
・平均型は,成績も平均並み。
・三振型(Ⅰ型・Ⅱ型)は,防御率も被打率も平均より低く,成績は優秀。
・フライ型は,防御率も被打率も平均より高く,成績は悪い。
・ゴロ型(Ⅰ型・Ⅱ型)は,平均並みの成績。
という結果になります。
考えてみれば当たり前の結果ともいえますが,三振のたくさん取れる投手はヒットを打たれる可能性が低く,失点する可能性も低い。ゴロを多く取る投手は,三振の取れる投手よりは,ヒットを打たれやすく,失点もしやすいということがわかりました。
一番の注目点は,普段議論されることが少ない,「フライの多い」投手です。前回の分析で,フライの多い投手は本塁打が多いことがわかっていたので,大体予想はついていましたが,やはりその成績は悪いものでした。
このように,投手の打者との対戦成績,特に三振・ゴロ・フライの割合に着目していくことで,投手の成績に差が出てくることがわかりました。しかしながら,三振型にもゴロ型の投手にもそれぞれ,2つのタイプ(Ⅰ型・Ⅱ型)があるのですが,Ⅰ型・Ⅱ型のタイプの間には成績に差が認められませんでした。
このようなタイプの違いは,投手の大きな分類をした際のちょっとした個性に過ぎないのでしょうか?そうであれば,投手のタイプを論じる際にあまり気にしなくても良いと思います。しかし,今回の分析ではグループの平均値を比較しただけですので,この件に関しては次回以降もう少し詳しく分析してみたいと思います。
最後に,今回の投手の分類によってできた6つのグループが,各チームにどれくらい所属しているかを示してみたいと思います。この分類によってチームの投手力がどの程度反映できているかどうかは,このコラムを読んでくださっている皆様で判断していただけると助かります。



分析データ
2008年から2010年までのNPB12球団で1軍の試合に登板し,年間100名以上の対戦成績のある552名。
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野球を客観視した独自の論評、分析、および研究を特徴として、野球に関するさまざまな考察をしています。
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