ドラフトについて~Part1
岡田友輔 [ 著者コラム一覧 ]
大学のリーグ戦や高校野球などドラフト候補の活躍がメディアを賑わしています。今季のドラフトは東海大・菅野投手をはじめ豊作と言われた昨年に劣らない人材がプロからの指名を待っています。球団もチーム強化の根幹にドラフトがあるのは言うまでもありません。ドラフトは現状の弱点を理解したうえで、長期的な戦略を描かなければ成功は収められません。今回から数回にわたってドラフト指名権の価値や傾向を見ていきたいと思います。今回はこれまでのドラフトを大まかに振り返ります。
ドラフト会議とは、プロスポーツリーグにおいて、選手を各チームに振り分けるために行う会議のことである。「ドラフト」(Draft)で「選抜」の意。狭義では新人選手を対象とした会議(新人選手選択会議)を指す。1936年NFLにおいて初めて取り入れられた後、以降競技や国の枠を超えて広がり、日本では1965年にプロ野球においてドラフトが行われたのが最初である。(~Wikipediaより)
日本では1965年からドラフト会議が行われており、45年間で3000を超える指名が行われています。初期のドラフトでは入団拒否などが多く見られましたが、プロ野球のステータス向上に伴い、現在ではドラフト指名後は多くの選手がプロ入りしています。
1.指名順位とポジション
1965年からこれまでに指名された選手がどのポジションで指名されたかを大まかに見てみましょう。下の表は指名・ポジション別に選手の割合を見たものになります。

ドラフト1位指名は70%を超える割合で投手が指名されています(分離ドラフトの年は高校と大学社会人1位をドラフト1位とする)。ドラフトでは有力な投手の指名が大きなウエイトを占めることがわかります。指名順位が下位になるごとに野手を指名する割合が増えていくようです。
投手の指名については一貫して上位で指名されてきたのでしょうか?年代別に見ていきましょう。ドラフト開始から1970年代までの指名傾向をまとめたのが下のグラフになります。

ドラフト全体のグラフと比べるとこの時代は野手を指名する割合が多かったようです。絶対的な投手が多くのイニングを担当する時代だった点も投手の指名を少なく出来た要因かもしれません。

1980年代は特徴的な割合になっています。1位指名で投手、2位以降は野手の割合が半数以上と全体の傾向と比べて最も異なる割合といえそうです。


1990年以降はローテーション制の導入やブルペンの役割が大きくなるなど、ドラフト指名において投手の指名割合が非常に大きくなる期間です。2000年代はドラフト制度の変更が相次ぎましたが、投手が上位を占める割合は変わらず高いようです。
3.ドラフトの獲得チャンネル
次にドラフトの指名チャンネルを見てみましょう。球団が新人選手を獲得するには主に3つのルートがあります。3つのルートとは高校生・大学生・社会人です。下のグラフはドラフト開始からチャンネル別に獲得選手をまとめたものになります(その他は独立リーグやMLB所属選手など高校・大学・社会人から直接NPBに入団しなかった選手をまとめたものです)。

ドラフト全体では高校生の指名が最も多く、どの順位でも4割以上の指名を高校生が占めています。社会人選手がそれに続き、大学生は上位指名で大きな割合を占めているようです。
チャンネルの指名傾向も年度別に少し細かくみていきましょう。

ドラフト制度間もなくは高卒および社会人選手が指名の大半を占めています。まだ大学の進学率がそれほど高くない時代でもあり、大学生の指名数がそれほど多くありません。

1980年代は上位指名を大学・社会人選手が占める割合がやや大きくなっています。球団が上位で即戦力選手を確保しているのが伺えます。同時にプロのレベルが上がり、高校からいきなり活躍できる選手が限られてきた年代といえるかもしれません。高校生については3位指名以降で大きな割合を占めています。


1990年以降もこの傾向は続きます。特に大学生の上位指名割合が大きくなり、高校生は下位順位指名でも割合を落としていきます。社会人選手も社会情勢の変化でチーム母体が減り、排出する割合が下がっています。
4.ドラフトの指名トレンド
これまでみてきたように、ドラフト制度発足から現在に至るまでトレンドが変わっていることがわかります。ポジション別で見てみると、野手の指名割合が減少し、投手が上位指名の大きな割合を占めるようになっています。これは、絶対的な個の力から組織として力を発揮する構造(先発投手のローテーション制やクローザー・セットアップマンなどブルペンの役割増)に変わったことが理由のひとつといえそうです。
さらにNPB自体のレベルアップが選手指名チャンネルの割合を変えさせています。プロ野球の全体が底上げされることによって、身体的に未熟な高校生が活躍できる割合は相対的に小さくなります。また、育成目的で高校生を獲得しても、期待通りに成長するとは限りません。1990年代から球団は多くの即戦力投手が必要になっただけに、高校生の指名割合が落ちていったのは仕方がないのかもしれません。もちろん、高校生の指名は悪い面だけでなく、選手として目途が立つのなら大学・社会人選手よりも長い期間、球団に貢献してくれる存在になります。
ここまでは大まかにドラフトのトレンドを見てきました。次回は指名順位やポジション・チャンネルをもう少し深く掘り下げたいと思います。
ドラフト会議とは、プロスポーツリーグにおいて、選手を各チームに振り分けるために行う会議のことである。「ドラフト」(Draft)で「選抜」の意。狭義では新人選手を対象とした会議(新人選手選択会議)を指す。1936年NFLにおいて初めて取り入れられた後、以降競技や国の枠を超えて広がり、日本では1965年にプロ野球においてドラフトが行われたのが最初である。(~Wikipediaより)
日本では1965年からドラフト会議が行われており、45年間で3000を超える指名が行われています。初期のドラフトでは入団拒否などが多く見られましたが、プロ野球のステータス向上に伴い、現在ではドラフト指名後は多くの選手がプロ入りしています。
1.指名順位とポジション
1965年からこれまでに指名された選手がどのポジションで指名されたかを大まかに見てみましょう。下の表は指名・ポジション別に選手の割合を見たものになります。

ドラフト1位指名は70%を超える割合で投手が指名されています(分離ドラフトの年は高校と大学社会人1位をドラフト1位とする)。ドラフトでは有力な投手の指名が大きなウエイトを占めることがわかります。指名順位が下位になるごとに野手を指名する割合が増えていくようです。
投手の指名については一貫して上位で指名されてきたのでしょうか?年代別に見ていきましょう。ドラフト開始から1970年代までの指名傾向をまとめたのが下のグラフになります。

ドラフト全体のグラフと比べるとこの時代は野手を指名する割合が多かったようです。絶対的な投手が多くのイニングを担当する時代だった点も投手の指名を少なく出来た要因かもしれません。

1980年代は特徴的な割合になっています。1位指名で投手、2位以降は野手の割合が半数以上と全体の傾向と比べて最も異なる割合といえそうです。


1990年以降はローテーション制の導入やブルペンの役割が大きくなるなど、ドラフト指名において投手の指名割合が非常に大きくなる期間です。2000年代はドラフト制度の変更が相次ぎましたが、投手が上位を占める割合は変わらず高いようです。
3.ドラフトの獲得チャンネル
次にドラフトの指名チャンネルを見てみましょう。球団が新人選手を獲得するには主に3つのルートがあります。3つのルートとは高校生・大学生・社会人です。下のグラフはドラフト開始からチャンネル別に獲得選手をまとめたものになります(その他は独立リーグやMLB所属選手など高校・大学・社会人から直接NPBに入団しなかった選手をまとめたものです)。

ドラフト全体では高校生の指名が最も多く、どの順位でも4割以上の指名を高校生が占めています。社会人選手がそれに続き、大学生は上位指名で大きな割合を占めているようです。
チャンネルの指名傾向も年度別に少し細かくみていきましょう。

ドラフト制度間もなくは高卒および社会人選手が指名の大半を占めています。まだ大学の進学率がそれほど高くない時代でもあり、大学生の指名数がそれほど多くありません。

1980年代は上位指名を大学・社会人選手が占める割合がやや大きくなっています。球団が上位で即戦力選手を確保しているのが伺えます。同時にプロのレベルが上がり、高校からいきなり活躍できる選手が限られてきた年代といえるかもしれません。高校生については3位指名以降で大きな割合を占めています。


1990年以降もこの傾向は続きます。特に大学生の上位指名割合が大きくなり、高校生は下位順位指名でも割合を落としていきます。社会人選手も社会情勢の変化でチーム母体が減り、排出する割合が下がっています。
4.ドラフトの指名トレンド
これまでみてきたように、ドラフト制度発足から現在に至るまでトレンドが変わっていることがわかります。ポジション別で見てみると、野手の指名割合が減少し、投手が上位指名の大きな割合を占めるようになっています。これは、絶対的な個の力から組織として力を発揮する構造(先発投手のローテーション制やクローザー・セットアップマンなどブルペンの役割増)に変わったことが理由のひとつといえそうです。
さらにNPB自体のレベルアップが選手指名チャンネルの割合を変えさせています。プロ野球の全体が底上げされることによって、身体的に未熟な高校生が活躍できる割合は相対的に小さくなります。また、育成目的で高校生を獲得しても、期待通りに成長するとは限りません。1990年代から球団は多くの即戦力投手が必要になっただけに、高校生の指名割合が落ちていったのは仕方がないのかもしれません。もちろん、高校生の指名は悪い面だけでなく、選手として目途が立つのなら大学・社会人選手よりも長い期間、球団に貢献してくれる存在になります。
ここまでは大まかにドラフトのトレンドを見てきました。次回は指名順位やポジション・チャンネルをもう少し深く掘り下げたいと思います。
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Baseball Lab「Archives」では2010~2011年にかけてラボ内で行われた「セイバーメトリクス」のコンテンツを公開しております。
野球を客観視した独自の論評、分析、および研究を特徴として、野球に関するさまざまな考察をしています。
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