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好調ヤクルトを支える畠山和洋

岡田友輔 [ 著者コラム一覧 ]

投稿日時:2011/05/13(金) 10:00rss

 開幕から20試合あまりを各チームが消化しています。セ・リーグではヤクルト・広島が好スタートを切っていますが、ヤクルトの好スタートは、畠山・バレンティン二人の活躍に拠るところも大きいかと思います。ここまで見事な活躍をしている畠山選手の内容を確認し、今後も好成績を維持することが可能なのか考えていきましょう。
 
 
1.基本的な打撃成績
 
 最初に畠山選手の基本的な打撃成績を確認しておきましょう。下の表は60以上の打席に立った選手を対象にした、wOBAのランキングになります(5月11日終了時のデータです)。12球団で開幕から好成績を残した選手が並びますが、畠山選手はそれを上回る成績を残しています(wOBAは.476で、バレンティンに次ぐ成績)。得点貢献(wRAA)で見てもここまでチームに大きな貢献をしているのがわかります。
 

 
 開幕から畠山選手の活躍をどう見るべきでしょうか?たまたま調子が良い期間なのか、それとも打者として大きな飛躍を遂げたのかデータから考えていきましょう。下の表は2008年以降の畠山選手の打撃成績になります。
 

 
 ここまで好調な畠山選手ですが、例年に比べBABIPが高いのは気になるところです。今のところリーグ全体のBABIPは前年に比べ下がっているのを考えると、この値が落ち込み不振に陥る可能性があるかもしれません(BABIPについては後で触れます)。
反対に打者として最も成長している部分は長打力になります。200打席あまりのシーズンもありますが、ここ数年、長打力の目安となるISOの値が高くなっているのは打者として力をつけていると見ることが出来ます。もう一つの良い点は選球眼です(BB%)。毎年ヒットを打つ以外に、打席の10%以上を四球で出塁することが出来るのは畠山選手の大きな魅力です。
 
 
2.畠山選手の長所
 

 
 良くなった点をもう少し細かいデータで見ていきましょう。最初にパワーについてですが、HR/外野フライが大きく向上しているのがわかります。2008~2009年は12~16の外野フライに対して本塁打が1本の割合でした。しかし、昨年は7外野フライに1本の割合でボールをスタンドまで運んでいます(今季もここまでかなり良い数字を残しています)。パワーがついた影響かどうか不明ですが、バットにボールが当たった際の打球割合に大きな変化があります。ここ数年はゴロの割合が少なく、フライの割合が多くなっているのは良い傾向です。今季ここまでライナー・フライの割合は総打球の2/3を超え、持ち味のパワーを発揮できる打球を多く打っています(ライナー増&内野フライ割合の低下は高BABIPの一つの要因)。選球眼についても非常に安定しています。ボールゾーンのスイング率(BZスイング率)は一貫して良い数字を残しています(リーグ平均は25%前後)。ボールを振ることは打者にとってリスクが大きく、ここ数年、打てる(ストライク)ボールをスイングする割合の高い畠山選手が好成績を残したとしても不思議ではありません。
 

3.ゴロとフライのBABIP

 次にBABIPについて考えていきましょう。現在のBABIP.365はやや高い値で、この数値が落ちることは十分考えられます。打球割合でライナーが増えていること、さらに内野フライの減少がBABIPを高くした要因の一つと指摘しました。それ以外のゴロと外野フライについてはどうなっているのでしょうか?
 


 上の表は畠山のゴロ打球についての詳細データです。ゴロを打つ割合が大きく下がっているとはいえ、昨年と今年では安打になる割合がまるで違います。畠山選手にとって打ちたくない打球(ゴロ)ですが、ここまでは安打になる割合が非常に高く、これがBABIP全体を押し上げる要因となっているようです。
 

 
 外野フライについても見ていきましょう。12安打のうち、長打が10本とパワーを発揮しているのがわかります。外野フライのBABIPはゴロとは逆に下がっています。自らの長所を発揮しやすい打球では適正な見返りを得ているにすぎません。フィールド内に飛んだ外野フライが安打になる割合が下がってもパワーでそれを補い、外野フライのwOBAは昨年の数字を上回っています。
 
 
4.まとめ
 
 畠山選手のデータを細かく見ていくと、現在の好調はゴロが安打になることで成績が向上した面は確かにあるでしょう。また、ライナー増加と内野フライの減少も畠山選手を後押しをしたようです。しかし、畠山選手の長所であるフライを多く打つ事や四球を選び続けられれば、ゴロ打球の恩恵が無くなったとしても、大きく成績を落とすことはないと考えた方が適当かもしれません。28歳と打者としてピーク時期であろう今季は、キャリア最高の数字を期待して良いかもしれません。

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