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前半戦の振り返り~Part1

岡田友輔 [ 著者コラム一覧 ]

投稿日時:2011/07/25(月) 10:00rss

 短いオールスター休みも終わり、本日からペナントレースが再開されます。震災の影響で多くの試合が後半に組み込まれた今年は、例年に比べ長い後半戦になりそうです。ペナントレース再開前にデータから前半戦を振り返っていきましょう。
 
 
1.得点環境の確認
 
 今季は統一球の導入により得点環境が大きく変動したシーズンになっています。以前、40試合消化時点の得点環境についてリポートがありましたが、その時と傾向は変わっていません(セ・リーグの平均得点は3.16、パ・リーグは3.40で、前年に比べ1得点以上低下しています)。2リーグ制以降、最も得点が入らなかった1950年代中盤から1960年代と同等かそれより少ない得点しか挙げられていません。この得点環境の変化によって、前半戦では連続無得点や連続無失点記録が話題になりました。特にチームがスランプに陥ると、得点を挙げるのに非常に苦労するシーズンとなっています。この環境だと得点を挙げられない時期がどのチームに訪れてもおかしくない状況です。
 

 
 それを表すように得点分布は0~2得点の割合が12~15%ほど高くなっています。3得点以下の割合が6割近くもあり、1得点あたりの重みが増しています。
 

 
 
2.12球団の攻撃力
 
それではリーグ別に攻撃について見ていきましょう。はじめはヤクルトが大きくリードを奪っているセ・リーグです。
 

 
 セ・リーグの特徴は広島を除き、長打力(ISO)でほとんど差が付いていない点です。得点を挙げる上で出塁力と長打力は欠かせませんが、今季は長打面でほとんど差がつかず、出塁能力の差がそのまま得点力となって表れています。ヤクルトは打率・四球を選ぶ割合が高く最も高い出塁能力となっています。阪神は打撃力で、中日は四球を多く選び出塁能力を維持しています。平均得点が3点に満たない巨人ですが、持ち前の長打力を統一球によって封じられています。さらに、昨年はリーグ平均と同じくらいだった出塁能力も落ち込み、持ち前の攻撃力が影をひそめています。広島はシーズン序盤こそ上手く得点を挙げていましたが、やはり長打の面で苦しい布陣で故障の廣瀬・トレーシーの復帰や新外国人選手の活躍が上位進出には不可欠です。横浜はリーグトップの得点を挙げていますが、出塁・長打では飛び抜けた数字ではありません。このままシーズン後半まで得点力を維持できるのか注目されます。
 
 
続いてパ・リーグを見ていきましょう。
 

 
 パ・リーグはソフトバンク・日本ハムが出塁・長打両面でアドバンテージを取っています。両チームとも主力に故障者が出て順調とは言えないシーズンでしたが、(特にソフトバンクは)層の厚さで大きな戦力ダウンを防いでいます。前半戦を3位で終えたロッテは、前年と変わらず高い出塁能力が武器になっています。9連敗で前半戦を終えてしまった西武は、長打面でアドバンテージはあるようです。オリックス・楽天は出塁・長打両面でリーグ平均に足らず苦しい状況です。前半戦は両チームとも得点力不足で星を落としています。残りの試合で上位を追いかけるには、ある程度の攻撃力が必要になります。両チームがどういう方策でこの苦境を乗り切るのかはリーグ全体に影響を与えそうです。
 
 
3.ポジション別の貢献
 
 チームの攻撃について出塁・長打力の両面で見てきましたが、さらに掘り下げてみていきましょう。チームの攻撃力の基になる出塁能力や長打を打つ能力は選手が積み上げた数字になります。選手個々を比べる上で、ポジションを考慮することでよりチームの強みや弱みを理解することができます。同じ成績(打率/出塁率/長打率/wOBA)でもポジションが異なることで、その価値に大きな差が出ます。捕手・遊撃手・二塁手は一般的に攻撃に秀でた選手は少なく、逆に一塁手・左翼手・右翼手は他のポジションに比べ攻撃力の高い選手が務めるケースが多いでしょう。下の表は各チームのポジション別に打率/出塁率/長打率/wOBAになります。各ポジションの貢献はリーグwOBA(リーグの同ポジションの平均)と対象チームのwOBAから、リーグで同じポジションの平均的な選手に比べどれくらい得点を増やした(減らした)wRAAで見ることができます。




◎セ・リーグ
 
 巨人は1B・2B・3Bで大きなマイナスを作っていますファーストはコンバートされた小笠原選手、セカンドは若手枠、サードも新戦力や亀井選手などの活躍を見込んでいましたが、ここまでは上手くいっていないようです。
 ヤクルトはレフトのマイナスが気になりますが、レギュラーの畠山選手がファースト出場時に好成績を残しているだけで、それほど問題になる内容ではありません。どのポジションも大きなマイナスを計上することなく、強み(1B・CF・RF)が順調に利得を積み上げています。
 横浜はリーグトップの得点を挙げていますが、内訳をみると出入りが激しいようです。2B・3B・LFは大きな利得を挙げています。編成としては、攻撃で村田選手やスレッジ選手が貢献するのは見込み通りですが、渡辺直選手がセカンドの攻撃で利得を挙げているのは狙い通りかもしれません。ここまで他球団のセカンドが軒並み低調な内容だったのも、横浜(渡辺選手)に味方しています。
 中日はグスマン選手を我慢して使っていましたが、シーズン途中から若手選手を多く起用するケースが増えています。2BとRFの大きいマイナスを他のポジションで埋め合わせて帳尻を合わせたのはさすがです。今後は平田選手をはじめとした若手と、前半戦やや精彩を欠いた森野選手の復調待ちとなりそうです。
 開幕から躓いた阪神ですが、各ポジションで穴のない攻撃陣を備えています。レフト・センターの攻撃力に目途がつくと一気に上位を狙える攻撃陣といえそうです。
 広島は2B・CFでアドバンテージがありますが、そのほかのポジションではマイナスが目立ちます。チーム部分でも触れましたが、廣瀬選手の復帰や新外国人選手で利得を稼ぎたいところです。今のところ大きなマイナスを計上するポジションがないのは、良い点(ポイントゲッターの加入で、平均的な攻撃力実現の可能性)もあれば、悪い点(編成的には各ポジションで手当てが必要)もありそうです。
 
 
◎パ・リーグ
 
 西武は主力とそれ以外のポジションで大きな差が出来ています。3B・SS・CFは同ポジションに対してアドバンテージを取っています。浅村・銀二朗選手の台頭(1B)もありましたが、2B・LF・RFで大きなマイナスを作っています。特に主力の一人である片岡選手のいるセカンドで、2ケタのマイナスを計上したのは誤算でしょう。
 日本ハムは昨年大きなマイナスを計上した1B・LFの手当てに成功し、田中賢選手の離脱後にすぐさま補強に動くなど上手に立ち回っています。3Bの小谷野選手が不調でしたが、他のポジションで上手く穴を埋めています。昨年は攻撃面が課題でしたが、しっかりと対処していのはさすがです。
 ロッテは主力選手の放出などでチームを作り直しながら良く戦っているといえるかもしれません。伊志嶺選手(主にRF)は2B(井口選手)に次いで得点に貢献しています。最大の懸念事項だった遊撃手についても何とかやりくりして、穴を小さくしています。攻撃面で3位争いは十分出来る内容になっています。
 オリックスも広島と同じように核になるポジションがなかなか見つかりません。坂口選手が好調ですが、同じポジションに糸井(日本ハム)・栗山(西武)と有力選手がいてなかなか利得を稼げません。T-岡田選手や後藤選手の復調がないと、攻撃面では苦しい戦いが続くかもしれません。
 ソフトバンクはヤクルト同様大きなマイナスになっているポジションはなく重厚な布陣です。カブレラ選手などが本調子になった場合は手がつけられないかもしれません。ソフトバンク唯一の懸念事項はやはり故障者になりそうです。
 楽天はすべてのポジションでマイナスと苦しい陣容です。チームリーダーで最も計算が出来た鉄平選手が不振に陥り、新戦力もなかなか力を発揮できていません。山崎選手の復帰をきっかけにチームの復調を願いたいところです。
 
 この値は実績を評価したもので、選手の実力を表しているとは限りません。また、シーズン半分程度の値でしかなく、マイナスを作ったポジションでもまだまだ挽回は可能です。
 
 
4.選手個々の貢献
 
 最後に選手個々の貢献についてみていきましょう。当サイトでは分析データでwRAAを掲載していますが、リーグ平均と比べたものでポジションの影響を加味していません。下の表は出場したポジションを考慮した値になります(150打席以上の選手を対象)。選手の守備位置はそのポジションで最も多く打席に立ったものを参考にしています。


 
 

 
 
明日はディフェンス面について振り返りましょう。

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