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前半戦の振り返り~Part2

岡田友輔 [ 著者コラム一覧 ]

投稿日時:2011/07/26(火) 10:00rss

 短いオールスター休みも終わり、昨日からペナントレースが再開されています。震災の影響で多くの試合が後半に組み込まれた今年は、例年に比べ長い後半戦になりそうです。昨日のオフェンスに続き、今日はディフェンス面をデータから振り返っていきましょう。
 
 
1.チームの総合的なディフェンス
 
 チームのディフェンスは投手と守備が力を合わせて失点を防ぐことになります。ディフェンスはオフェンスほど単純に定義出来ないのがなかなか難しいところです。下のグラフは投手の能力をxFIPで、守備力をDERで表しています。この2つの軸でチームが失点を防ぐ力を大まかに把握していきます。
 
初めにセ・リーグから見ていきましょう。

 

 セ・リーグで失点する割合が少ない巨人・阪神は投手がその力の源になっているようです。特に阪神のxFIPは優秀で、投手陣はリーグでも傑出した力がありそうです。中日のDERを見ると高い守備力で失点を防いでいる事が伺えます。ヤクルト・広島は投手・守備ともに平均近くの値になっています。横浜はすでに322失点と他の5球団に比べかなり厳しい内容ですが、投手・守備両面で課題がありそうです。
 
続いてパ・リーグを見ていきましょう。
 

 
 パ・リーグはソフトバンクと日本ハムの失点率が非常に低くなっています。ソフトバンクは投手力が飛びぬけて高く、守備面でも高いDERを実現しています。日本ハムは守備面で失点を抑えている傾向がありそうです。ロッテは守備が投手を支え、反対に楽天は投手が守備を助けているようです。オリックス・西武は投手・守備ともにリーグ平均に満たず失点を増やしてしまっているようです。
 

 
 
2.チームディフェンスの掘り下げ
 
 失点を防ぐ力については、投手が守備に与える影響などをもう少し掘り下げてみていかなければならにでしょう。下の表は各チームの投手と守備を工程別にまとめています。最初の三振%・四球%は投手がほぼ全面的に責任を負います。三振が多く(少なく)、四球が少なけれ(多くなれ)ば失点が減る(増える)ことになるでしょう。

 次のゴロ/フライや打球割合は投手が打たれた打球について表しています。打たれる打球について(安打・凡打は別にして)は、投手に多くの責任があります(一般的にライナー・フライが多ければ安打になりやすく、ゴロの割合が多ければアウトを取れる割合が高まります)。

 さらに内野/フライとHR/外野フライは投手が打たれた打球についてさらに詳しく見たものになります。内野フライ/フライはフライに占める内野フライの割合を表しています。内野フライはほぼアウトが見込める打球で、投手にとっては失点を減らす見込みの高い打球です。HR/外野フライは外野フライが本塁打になる割合を表します。この値が高ければ失点する割合は高くなります。ここまで見てきた項目は守備側が関与する余地がないもので、基本的に投手の貢献(実力ではない項目があります)を見たものになります。三振が多く、四球が少なく、ゴロの割合が高く(ライナー・フライの割合が低い)、フライのうち内野フライを打たせる割合が高く、外野フライが本塁打になりにくければ、投手の力で失点を減らす可能性が高まります。ライナーが少なく、内野フライの割合が高ければフィールド内でアウト取る助け(DERの上昇)になります。反対に投手陣がライナー(フライ)を多く打たれ、内野フライの割合も低ければフィール内で効率的にアウトを取るのは厳しい状況になります。

 最後のアウト%は守備側がゴロと外野フライを処理した割合を表します。リーグ平均に比べゴロや外野フライを処理する割合が高ければ投手を助けることになります。
 

 
 各球団を見ていくと、ソフトバンクは三振%、ライナー割合、内野フライ%がいずれも高く、xFIPの評価と同じく優れた投手陣を抱えているのが分かります。ソフトバンクは内野陣も優秀で、投手・内野陣で高い守備力を実現しています。同じように投手が守備を助けているチームは巨人・阪神といえそうです。ソフトバンクに比べ外野守備面に課題がありますが、投手力で上手く失点を抑えているようです。

 日本ハムは投手陣の力は決して飛び抜けたものではありませんが、四球が少なく、ゴロを多く打たせる(本塁打を打たれない)形で守備が介在する割合を大きくしています。特に内野陣がゴロで多くのアウトを奪い投手&内野守備で失点を防いでいます。投手が守備と協力して失点を防ぐスタイルは、中日(投手と平均より優れた内外野守備)、ロッテ・広島(平均よりかなり優れた外野守備陣)が挙げられます。
こういった形で12球団のディフェンスを見ていくと、投手・守備の影響を理解できる範囲が広がります。
 
 
3.各投手の内容
 
 最後に各投手の内容についてです。チームディフェンスの掘り下げで振れたように、投手がコントロールできる部分は限られています。xFIPやFIPを中心に、投手がコントロール出来る項目(奪三振率、与四球率、ゴロ割合)を中心にその内容を見ていくのが妥当でしょう。BABIPLOB%が成績を押し上げている投手は後半戦注意が必要なのかもしれません。セ・パ両リーグの主な先発・救援投手別にxFIPを基にランキングを作成しています。
 

 
 

 
 

 
 

 
 攻撃・守備について前半戦を振り返ってきましたが、ここまでの数字は信頼に足る項目もあればそうでないものもあります。シーズン後半は、前半の成績が実力に裏打ちされたものか試される期間でもあります。今シーズンはプロ野球の歴史でも稀な環境変化が起こっています。チームや選手の実力を測るのは例年よりかなり難しくなっていますが、有益なデータがその手掛かりになるのは間違いないでしょう。

 

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