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ポジションの現状と編成の対応~千葉ロッテ・マリーンズ

岡田友輔 [ 著者コラム一覧 ]

投稿日時:2011/02/14(月) 10:00rss

 2月1日にプロ野球各球団が一斉にキャンプインし、いよいよ2011年のプロ野球開幕が近づいてきました。前回に引き続きこのオフに各球団の編成がどのような課題を持ち戦力補強を行ったのか確認していきましょう。今回はオフに西岡選手や小林宏選手など主力がチームを離れたロッテ編成の対応についてです。


1.補強前の状況

 ポジションの現状を評価する手法は前回と変わりません。編成が戦力補強を考えるには、現状のチームの強みや弱みを把握していなければなりません。ロッテの現状については攻守両面をデータの部分からある程度把握する事が可能です。具体的にポジション毎にリーグの平均的な値と比較する事で、リーグ内での力関係を見る事が出来ます。同じポジションの打撃成績に比べどれだけ得点を上乗せしたのかをwOBAを基に算出(ポジション毎のwRAA)。同じようにポジションの平均に比べどれだけ失点を防いだかUZRを参照します。この2つを使う事で、ポジションの攻撃・守備を得失点への貢献という形で見る事が出来ます。

■ポジション攻撃の評価(三塁の場合)
チーム三塁手のwRAA=(三塁手(チーム)のwOBA - リーグ三塁手のwOBA) / 1.15 * 三塁手(チーム)の総打席数

 下の表はロッテのポジション別の得失点貢献になります。赤いグラフが守備、青いグラフは攻撃の結果を表しています。グラフが上に伸びるほど貢献が高く、攻撃なら同ポジションの平均的な選手より得点を上乗せした扱いとなり、守備では同ポジションの平均的な選手に比べ失点を抑えたという評価になります。赤・青を合わせた値がそのポジションがもたらしたチームへの得失点への貢献になります。項目の「SP」は先発投手、「RP」は救援投手全体を表します。「他」は代打などでポジションが決められていない打席をまとめたものです。さらにその下の表は、月別の勝敗と最もそのポジションで出場した選手が記載してあります(先発は登板数、打者は打席数をベース)。この推移を見る事で、主力選手の離脱や戦力の入れ替えなどを時系列で見る事が出来ます。





 ポジションの得失点評価を見てまず目に付けくのが二遊間の貢献です。二塁手(ほぼ井口選手)の攻撃力はリーグでも群を抜いていて大きな得失点差を生み出しています。守備面でやや衰えが見られますが、昨年は収支的にはプラスと見て良さそうです。しかし、近い将来に井口選手のコンバートを考えなければならない可能性は大きいかもしれません。井口選手の攻撃貢献が守備貢献を上回っている期間に、編成は代替選手のめどを付けておきたいところです。
 セカンドは近い将来の問題になりますが、ショートは今オフ最大の問題でした。昨年ショートでフル出場を果たした西岡選手は、リーグの平均的な遊撃手に比べ攻守両面で55.8もの得失点差を生み出していたと考えられます(これは12球団どのポジションよりも高い貢献です)。ポスティングでミネソタに移籍が決まりましたが、この穴を埋めるのは容易な事ではありません。遊撃手の代替選手がリーグで平均的な成績を残せたとしても、各ポジション毎に得失点を5程度改善しないと昨年並みの成績にはならない計算です。今のところ外からの補強はなく、既存の戦力で賄う決意の様です(他のポジションに比べ遊撃手の代替は難しく、簡単に補強できるポジションでないのも事実です)。 
 内野手の貢献に支えられたロッテでしたが、外野手は一昨年より改善されたとはいえまだまだ手を入れる必要がありそうです。外野手の改善点についてですが、ひとつはセンターの攻撃力、もうひとつはライトの守備力についてです。ライトのサブロー選手の守備については2年連続で心配な数字になっています。
 投手陣は守護神の小林宏投手がFAで阪神に移籍しています。ブルペンの成績はリーグの平均に比べやや劣っているだけに、こちらも痛い流出となっています。
西岡選手のポスティングが決まった段階で、ロッテ編成がシーズン目標をどのあたりに設定しているのかは気になるところです。


2.ロッテ編成の選択

  

 上の2つの表はロッテの編成が今オフに実施した主な選手の入れ替えをまとめたものになります。目玉は守護神候補で獲得したマクローリー投手とドラフト1位で入団した伊志嶺外野手になるかと思います。ただ、長年チームを支えた主力選手が移籍したにしては、地味な戦力補強と言えるかもしれません。この点はチームのペイロール(総年俸)が25.4億(推定)から22~23億程度(現時点の推定)に下がっているようで、予算的に制約がかなりあるのかもしれません。
 オフ最大の問題である西岡選手移籍の対応については、明確な方針はまだ見られません。最も楽観的なシナリオとして、荻野選手のコンバート成功。最悪のケースはレギュラー選手が現れず日替わり運用となる事でしょうか。
 ロッテ編成はポジション別のチーム状況を考慮し、遊撃手の成績低下はある程度仕方がないとして、外野手の補強を優先させたのかもしれません。昨年台頭した荻野貴・清田・岡田の外野手陣でも一気に外野の損失を返済する事は出来ませんでした。西岡選手のポスティング決定時に、ロッテの編成はドラフトで有力な即戦力遊撃手がいないと判断。やや弱い外野手の補強として伊志嶺選手の指名。層の薄くなった遊撃手に荻野貴選手のコンバートで対応という青写真を描いたのかもしれません。遊撃手の利得がそのまま消失しても、センター・ライトのマイナスを小さく出来れば、十分に戦えそうです。
 




 大きなマイナスを計上しさえしなければ良い後任の遊撃手ですが、2008年以降西岡選手以外でショートを守っているのは根元・塀内・早坂・渡辺選手となっています。最も守った早坂選手でさえ232イニングで、1年を通して遊撃を任せると守備だけでなく、攻撃面でもかなりの損失が予想されます(遊撃守備経験のある選手のwOBAは低く心配です)。この点を考慮し、打撃である程度の結果を残した荻野貴選手のコンバートは理解できなくありません(リーグのポジション別wOBA参照)。故障明けなのでどの程度の守備力を見込めるかは分かりませんが、今季のロッテはショート・センター・ライトのポジションで入団3年以内の荻野貴・清田・岡田・伊志嶺らの力が必要になりそうです(もちろん3つのポジションを守るその他の選手も同様です)。
 

3.過渡期を迎えたロッテ編成

 ロッテ編成は、昨季プレーオフ進出の原動力となった遊撃手の強みを一気に失い厳しい対応を迫られています。さらにチームを支えてきたベテラン選手のコンバート等が今後予想されます。チームとしての過渡期をうまく乗り越えるかそうでないかで、今後数年のチーム状態に大きな影響を与えるのは言うまでもありません。このところチームの大黒柱の移籍をうまく乗り越えられているチームに日本ハムが挙げられます。ロッテの編成も同じようにこの状態を乗り切る算段を付けているか注目されます。
 過去のデータからリーグ優勝を狙うなら得失点がプラス100程度、Aクラス入りを狙うなら得失点をプラス20~30作れればかなりの割合で目的を達成する事が出来そうです。この得失点をどこで稼ぐのかを戦略的に考える事が編成の役割になります。今季のロッテは、大きな強みを失う代わりに、弱点を補う補強により各ポジションで平均的な戦力を整える選択をしたのかもしれません。

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