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ポジションの現状と編成の対応~西武・ライオンズ

岡田友輔 [ 著者コラム一覧 ]

投稿日時:2011/02/21(月) 10:00rss

 2月1日にプロ野球各球団が一斉にキャンプインし、いよいよ2011年のプロ野球開幕が近づいてきました。前3回に引き続きこのオフに各球団の編成がどのような課題を持ち戦力補強を行ったのか確認していきましょう。今回はドラフトで大石投手を引き当てた西武編成の対応についてです。


1.補強前の状況

 ポジションの現状を評価する手法は前回と変わりません。編成が戦力補強を考えるには、現状のチームの強みや弱みを把握していなければなりません。西武の現状については攻守両面をデータの部分からある程度把握する事が可能です。具体的にポジション毎にリーグの平均的な値と比較する事で、リーグ内での力関係を見る事が出来ます。同じポジションの打撃成績に比べどれだけ得点を上乗せしたのかをwOBAを基に算出(ポジション毎のwRAA)。同じようにポジションの平均に比べどれだけ失点を防いだかUZRを参照します。この2つを使う事で、ポジションの攻撃・守備を得失点への貢献という形で見る事が出来ます。

■ポジション攻撃の評価(三塁の場合)

チーム三塁手のwRAA=(三塁手(チーム)のwOBA - リーグ三塁手のwOBA) / 1.15 * 三塁手(チーム)の総打席数

 下の表は西武のポジション別の得失点貢献になります。赤いグラフが守備、青いグラフは攻撃の結果を表しています。グラフが上に伸びるほど貢献が高く、攻撃なら同ポジションの平均的な選手より得点を上乗せした扱いとなり、守備では同ポジションの平均的な選手に比べ失点を抑えたという評価になります。赤・青を合わせた値がそのポジションがもたらしたチームへの得失点への貢献になります。項目の「SP」は先発投手、「RP」は救援投手全体を表します。「他」は代打などでポジションが決められていない打席をまとめたものです。さらにその下の表は、月別の勝敗と最もそのポジションで出場した選手が記載してあります(先発は登板数、打者は打席数をベース)。この推移を見る事で、主力選手の離脱や戦力の入れ替えなどを時系列で見る事が出来ます。

 
 

 
 昨年は終盤まで首位をキープしていながら、ソフトバンクに優勝をさらわれてしまいました。長年の課題であるブルペンのマイナスは気になるところですが、得失点で大きなマイナスを計上するポジションはなく、地力のあるチーム構成となっています。遊撃手の出入りが激しいですが、攻撃力の貢献で得失点をプラスにしているのは特徴的です。



 昨シーズンの誤算は三塁と先発投手の相次ぐ故障や不調が挙げられます。中村選手の故障(開幕前とシーズン中)で得失点を稼ぐはずのポジション(サード)で、マイナスを計上したのは編成にとって誤算だったと思われます。中村選手が600打席程度出場出来ていたら、チームは終盤もう少し楽に戦えていたのかもしれません(昨年は354打席)。
 もうひとつの誤算は先発投手の故障が相次いだ点です。期間別最多出場選手の表を見ると、6~8月に主力選手の故障(石井一・岸投手)によるローテーションの再編。残った主力投手(涌井・帆足投手)の不調が表れています。リーグ内でも屈指の先発陣が崩れると、ブルペンの弱点が露呈してしまいます。戦力的には最も優勝に近かっただけに、編成にとっては悔しいシーズンだったかと思います。
 しかし、故障も悪い面だけでなく良い面もありました。坂田選手や浅村選手など将来の主力と目される野手が、ある程度結果を残したのは明るい話題です。今季は中島選手のポスティングを考えなければならないシーズンになりますが、そろそろ目途がつきつつあると編成が考えているかもしれません。
 
 
2.大きな動きをしなかった西武編成
 
  

 パ・リーグではソフトバンク・楽天と大型補強をする球団が目立ちましたが、選手の入れ替えに関して、西武は静かなオフとなりました。補強の目玉は6球団競合の末に手に入れた、大石投手になります。先発陣、弱点のブルペンどちらでもチームに貢献出来そうな人材です。そのほかではトレードで横浜から弥太郎投手を補強したのが、目立つ程度です。
 人材の流出面ではライバル・ソフトバンクに細川捕手が移籍したのが大きなところです。もちろん守備面での貢献はあり痛い移籍ですが、ソフトバンクとの4年総額2億5千万~8億円(推定)という契約の価値があるのかは意見の分かれるところです。一昨年から正捕手を銀仁朗選手に移行しようとする編成の意図は感じられました。そういった意味で、編成としてはシーズン当初から織り込み済みの移籍だったのかもしれません(銀二朗捕手の故障は想定外だったでしょうが・・・)。
 また、今オフの西武編成の動きは、設定された総年俸枠に余裕がなく、動きたくても動けない面もあるのではないかと感じました。チームの総年俸の天井は恐らく26億程度で、昨年は25.9億、今季は26.2億程度(どちらも推定)まで選手の年俸は積み上がっていると思われます。編成が優勝の為にまだ補強が必要と考えているのか、それとも中村(復調)・先発陣(故障した投手の復帰)+大石で十分と考えているかは興味のあるところです。
 
 
3.西武編成が思い描く2011年オフ

 西武の編成は、2011年オフにポスティングの検討を中島選手に約束しました。中島選手に替わるポジションの強みを作れるのなら、ポスティングの可能性は高まります。若手野手が台頭すれば、編成にも中島選手にも最も理想的なシナリオになります。
 最も早く中島選手が抜けた場合、2012年シーズンは先発・サード・センター辺りがポジションの強みを発揮できそうですが、優勝を常に狙うにはもう一つ得失点を稼ぐポジションが欲しいところです。それがどのポジションで誰になるのかは注目です。今季の西武編成は、自チームの状況とポスティングに踏み切るタイミングを計りにかけてシーズンを過ごすと思われます。当該シーズンだけでなく、その先を見据えながら強化が出来れば、安定した成績を残せるのは言うまでもありません。

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