エース対決を制する者
SHINGO [ 著者コラム一覧 ]
現在のパ・リーグにはエースと呼ぶに相応しい投手が全てのチームにいます。
言わずと知れたダルビッシュ有(日本ハム)、岩隈久志(楽天)、杉内俊哉(ソフトバンク)、涌井秀章(西武)、成瀬善久(ロッテ)、金子千尋(オリックス)の6人です。楽天にはもう一人、田中将大というエースと肩を並べる投手がいます。統一球導入の初年度、多少の浮き沈みこそありますがチームで最も頼りになる存在なのは例年通りといって良いでしょう。
このエース達が登板するゲームでは、チームは勝利を計算しさらにはブルペンの負荷を取り除こうとより多くのイニングを任せることを期待します。そして、このサイトでも数々の検証で記されている通り、やや副産物的な価値を持つ勝利数を着実に積み重ねています。そして、毎年安定した成績と共に高い勝率を保っています。ダルビッシュの.714(86勝34敗)を始めとし、涌井を除く6人が6割以上のハイアベレージです。勝率が一番低い涌井も.574(74勝55敗)とキャリアを通じて19個の貯金があります。
そこで、このサイトで扱うにはややご法度的な勝敗関係ですが、エース同士の対決ではどのような結果が出ているのか、興味を持ちながら統計してみようと考えました。出発点は全ての投手が出揃う2007年から2011年の6月までとします。
エース対決に拘る理由としては、
①知名度の相乗効果により嫌が追うにでも関心が高まる
②失点を制御する力とイニング性能に長けているため、決着が付くまで続投する見込みが高い
③先の理由により、勝敗関係が色濃くでるものと予想
④球団間、投手間のライバル関係を興味深く追うことが出来る
⑤相手エースを撃破することによるダメージの拡大
いかにも新聞やテレビが喜ぶ題材に見えますね。
なお、今回の集計でセ・リーグのエースと対戦したデータは諸事情により含んでおりません。
とはいっても、特別な事情ではなくライバル関係を重視するためだとご理解下さい。
とりあえずは純粋な勝敗関係から見て参りましょう。
1、エースに投げ勝つエースは誰?

思いのほか個別でのサンプル数が少なかったので、クライマックスシリーズ(CS)の結果も加えてみました。公式戦以上に勝敗が重視されますので違和感は無いと思います。全体的にはどの対決もほぼ均等な関係で、最も対戦数の多い「ダルビッシュvs岩隈」「ダルビッシュvs杉内」「岩隈vs涌井」(CSは含まず)の6回も、4年間の期間では年に2度も無くそうした点では物足りなさを感じる方も多いでしょう。ですので、勝敗といっても個別ではせいぜい星1つか2つ程度の開きしかなく力量や相性が浮き彫りにされるような結果ではないかもしれません。それでも、各球団のエース対決を全て組み合わせればそれなりのヴォリュームで楽しめるかと思います。
こうした少ない事例ではありますが、エース対決の結果は
成瀬 12勝7敗
岩隈 9勝5敗
ダルビッシュ 10勝8敗
杉内 6勝6敗
金子 5勝5敗
田中将 5勝6敗
涌井 6勝14敗
となりました。最も成績の良かった成瀬は涌井、金子との対決で貯金を荒稼ぎし、成績が最も悪かった涌井は田中将以外の対決で全て負け越しています。岩隈は負けが少ないのが特徴。ダルビッシュはどの対決でもほぼ同等の結果。杉内はCSでの3敗が響いています。
田中将も特に誰がお得意様や苦手という様子は感じられません。金子はこの中で最も実績が少ないのと、ダルビッシュとの対決が未だ実現していないようにエースとしてのプレッシャーはこれから強く圧し掛かってくるのではと思います。
勝敗だけを見れば成瀬の圧勝です。しかしどうでしょう、これだけで判別して良いものか。
それ以上に驚いたのはダルビッシュの勝敗が平凡なものに落ち着いてしまったことです。
自分がどれだけ抑えたとしても味方打線の援護が無ければ勝利は転がり込んでこないという見本のようで、古い言い回しで「相手のエースに投げ勝ってこそ、真のエースといえる」という言葉がありましたが、現実にはそう上手くはいかないものですね。
2、エース対決はランダム

さて、単なる勝敗の数だけでは満足しない方も多いと思いますので、可能な限りエース対決の実情を追いかけてみます。上の表は期間中全先発機会数に対するエース対決の回数と割合を出したものですが、投手によって4試合から6試合1度の割合で巡ってきており、ここで結構な開きが生じています。
これについて検証する際、ダルビッシュの割合を基準とするべきだと思いました。以前のコラムでも紹介した通り、今季に限らずダルビッシュの登板間隔は常に一定しており、仮にその間隔を詰めたとしても特定のチームのさらに特定した投手に合わせた登板という痕跡は見当たらず(優勝争いという理由は別として)、彼の対戦する相手投手はランダム性が特に高いものだと判断しているからです。
そうして見ると、涌井は比較的高い頻度で、岩隈と成瀬はダルビッシュと同程度の対戦数であることがわかってきました。田中将はチーム内2番手として対戦数が若干軽減せいなのか、詳しく調べてはいませんが13度と少な目です。金子もエースとしてローテーションの軸なって稼働する期間が短いため、エース対決はこの中で最小の11度に留まっています。杉内についてはランダムでこうなったのか、それとも意図的なものがあるのか、今の所解析出来ていませんがちょっと少ないですね。
この対戦数を見て少ないと感じる方は、野球ファン歴の長い方と想像します。昔はローテーションの人数も少なかったので、先発のマウンドに登る人数も限られるわけですから今よりもエース同士の対決が見られるのは自然なことだったかと思います。交流戦の導入も同一リーグ内という条件でエース対決が減った大きな理由の一つでしょう(それ以上に効果があるのはもちろんです)。加えて、エースだからこそコンディションを整えて万全の体勢で送り出すことを優先している面は以前のコラム「各チームの投手運用」でも見えてきます。そこで、所謂「エースに対しエースをぶつける」という作戦は、今ではそれほど重要視していないのではないかという現実に至る考えも出来ます。
一件だけ気になったのは、「涌井vs成瀬」の横浜高先輩後輩対決。これは話題を誘う戦略だろうと一瞬思いましたが、対決した6度は全て同じ登板間隔(中6日が5度、開幕戦が1度)ということで、何の策略も無かったようです。
3、エース対決でも勝敗の分かれ目はランサポート?真の勝者は?

次は、エース対決での味方の援護についてです。チームによって打力の違いがある以上、勝敗の不公平は起こりえるものですが、それがエース対決にも大きく作用しているのか見て参りましょう。左は本人の成績、右が相手投手の成績(援護状況)です。ランサポートという集計方法もありますが、エース対決のサポートをより濃く反映させるため、投手側の視点で捉えることにします。
ダルビッシュ・・・・如何なる相手でも圧倒的な成績は変わらず。数字的には期間中トータルの成績よりも優れています。対して、味方打線のエース攻略については1点以上のアドバンテージは作ってはいるものの、7度の完投(内2度の完封)を許し十分とはいえない数字で、大きく勝ち越せない理由の一つかもしれません。
岩隈・・・・・期間中トータルでの防御率からかなり引き上げられています。味方打線はかなり抑え込まれていますが、それでも4つの貯金があるとおりエース対決では普段以上の勝負強さを発揮しています。
杉内・・・・CSでの炎上が響き、今回7投手の中では最も悪い防御率。打線も奮わないようです。ただし、
終盤で優勝を決めた完封勝利を始めとした昨年の成績は3勝1敗という結果でした。
涌井・・・・防御率、WHIP、QS率とも普段と変わらない状況。打線のチームにしては援護の不足している点がらしくないといえばそうなります。
田中将・・・今季は成瀬、涌井との対決で勝利するなどさらに力を着けて来ています。高卒1年目シーズンのまだ安定感の増していない時期から集計対象となっているせいか、今ではもう少し良好な結果を期待してよいのではと思います。援護については、同僚の岩隈よりもサポートを得ているようです。
成瀬・・・対戦相手の防御率は3.78と、この中で最も援護を受けています。この点が大きく勝ち越している主な理由でしょう。
金子・・・・打線がかなり抑え込まれていますが、3度の完封勝利で勝敗を五分にしているようです。
結果として、成瀬の最多勝は打線の援護が働いた面を強く感じました。投球結果で優位に立ったのはダルビッシュ、岩隈、成瀬の3人で、杉内、涌井、金子がやや劣勢。田中将はほぼ互角ということでした。
この中から、勝敗や対戦回数、打線のサポートなども含めて考えると、今のところエース対決で最も光っているのは岩隈だといえます。
4、エース対決には隔たりがある?

実はこのエース対決はある一定の時期に集中しており、また6月から8月上旬にかけては中々実現しないという統計結果が出ています。各投手の登板した機会数と、登板数から割り出した実現率を表したものが上にありますが、4月までに全体の40%が消化されています。当たり前のことですが、開幕戦で先ずエース同士がぶつかり合い、その後数回は同じサイクルでローテーションが動きますので集中するのは当然です。それから少し経ち、幾つかの理由(雨天中止、日程、編成)で開幕投手のサイクルにズレが生じ、GW明けの交流戦で一旦は途切れます。そして、リーグ戦再開後に足並みが揃う訳でも無くオールスターブレイクを挟みますが、ここで選出されたか否かで後半戦のスタートが噛みあわなくなります。そして、ようやくシーズン終盤も差し迫った時期にCS進出をかけてようやく実現するという流れになるのでしょうか。ASブレイクの期間が昔に比べて短くなったのも、エース対決が遠ざかる理由の一つでしょう。
これから夏休みに入る期間にエース同士の対戦が中々実現しないというデータは、少々残念な気持ちが生まれてしまいますが、登板間隔を悪戯に変えてまでそこに拘る必要があるのかというと、恐らく殆どの監督がそう考えてはいないのではないかと思います。2の項目にも関連しますが、それだけローテーションの運用に気を配っていることも考慮すべき点ではないかと思います。
こうしてランダムに巡ってくるエース対決ですが、実現すれば普段以上に楽しみが増えるのは確かで、しかも今ではどの球団にもそうした投手が存在しているのは観戦、応援する立場としてとても幸せなことなのでしょう。
言わずと知れたダルビッシュ有(日本ハム)、岩隈久志(楽天)、杉内俊哉(ソフトバンク)、涌井秀章(西武)、成瀬善久(ロッテ)、金子千尋(オリックス)の6人です。楽天にはもう一人、田中将大というエースと肩を並べる投手がいます。統一球導入の初年度、多少の浮き沈みこそありますがチームで最も頼りになる存在なのは例年通りといって良いでしょう。
このエース達が登板するゲームでは、チームは勝利を計算しさらにはブルペンの負荷を取り除こうとより多くのイニングを任せることを期待します。そして、このサイトでも数々の検証で記されている通り、やや副産物的な価値を持つ勝利数を着実に積み重ねています。そして、毎年安定した成績と共に高い勝率を保っています。ダルビッシュの.714(86勝34敗)を始めとし、涌井を除く6人が6割以上のハイアベレージです。勝率が一番低い涌井も.574(74勝55敗)とキャリアを通じて19個の貯金があります。
そこで、このサイトで扱うにはややご法度的な勝敗関係ですが、エース同士の対決ではどのような結果が出ているのか、興味を持ちながら統計してみようと考えました。出発点は全ての投手が出揃う2007年から2011年の6月までとします。
エース対決に拘る理由としては、
①知名度の相乗効果により嫌が追うにでも関心が高まる
②失点を制御する力とイニング性能に長けているため、決着が付くまで続投する見込みが高い
③先の理由により、勝敗関係が色濃くでるものと予想
④球団間、投手間のライバル関係を興味深く追うことが出来る
⑤相手エースを撃破することによるダメージの拡大
いかにも新聞やテレビが喜ぶ題材に見えますね。
なお、今回の集計でセ・リーグのエースと対戦したデータは諸事情により含んでおりません。
とはいっても、特別な事情ではなくライバル関係を重視するためだとご理解下さい。
とりあえずは純粋な勝敗関係から見て参りましょう。
1、エースに投げ勝つエースは誰?

思いのほか個別でのサンプル数が少なかったので、クライマックスシリーズ(CS)の結果も加えてみました。公式戦以上に勝敗が重視されますので違和感は無いと思います。全体的にはどの対決もほぼ均等な関係で、最も対戦数の多い「ダルビッシュvs岩隈」「ダルビッシュvs杉内」「岩隈vs涌井」(CSは含まず)の6回も、4年間の期間では年に2度も無くそうした点では物足りなさを感じる方も多いでしょう。ですので、勝敗といっても個別ではせいぜい星1つか2つ程度の開きしかなく力量や相性が浮き彫りにされるような結果ではないかもしれません。それでも、各球団のエース対決を全て組み合わせればそれなりのヴォリュームで楽しめるかと思います。
こうした少ない事例ではありますが、エース対決の結果は
成瀬 12勝7敗
岩隈 9勝5敗
ダルビッシュ 10勝8敗
杉内 6勝6敗
金子 5勝5敗
田中将 5勝6敗
涌井 6勝14敗
となりました。最も成績の良かった成瀬は涌井、金子との対決で貯金を荒稼ぎし、成績が最も悪かった涌井は田中将以外の対決で全て負け越しています。岩隈は負けが少ないのが特徴。ダルビッシュはどの対決でもほぼ同等の結果。杉内はCSでの3敗が響いています。
田中将も特に誰がお得意様や苦手という様子は感じられません。金子はこの中で最も実績が少ないのと、ダルビッシュとの対決が未だ実現していないようにエースとしてのプレッシャーはこれから強く圧し掛かってくるのではと思います。
勝敗だけを見れば成瀬の圧勝です。しかしどうでしょう、これだけで判別して良いものか。
それ以上に驚いたのはダルビッシュの勝敗が平凡なものに落ち着いてしまったことです。
自分がどれだけ抑えたとしても味方打線の援護が無ければ勝利は転がり込んでこないという見本のようで、古い言い回しで「相手のエースに投げ勝ってこそ、真のエースといえる」という言葉がありましたが、現実にはそう上手くはいかないものですね。
2、エース対決はランダム

さて、単なる勝敗の数だけでは満足しない方も多いと思いますので、可能な限りエース対決の実情を追いかけてみます。上の表は期間中全先発機会数に対するエース対決の回数と割合を出したものですが、投手によって4試合から6試合1度の割合で巡ってきており、ここで結構な開きが生じています。
これについて検証する際、ダルビッシュの割合を基準とするべきだと思いました。以前のコラムでも紹介した通り、今季に限らずダルビッシュの登板間隔は常に一定しており、仮にその間隔を詰めたとしても特定のチームのさらに特定した投手に合わせた登板という痕跡は見当たらず(優勝争いという理由は別として)、彼の対戦する相手投手はランダム性が特に高いものだと判断しているからです。
そうして見ると、涌井は比較的高い頻度で、岩隈と成瀬はダルビッシュと同程度の対戦数であることがわかってきました。田中将はチーム内2番手として対戦数が若干軽減せいなのか、詳しく調べてはいませんが13度と少な目です。金子もエースとしてローテーションの軸なって稼働する期間が短いため、エース対決はこの中で最小の11度に留まっています。杉内についてはランダムでこうなったのか、それとも意図的なものがあるのか、今の所解析出来ていませんがちょっと少ないですね。
この対戦数を見て少ないと感じる方は、野球ファン歴の長い方と想像します。昔はローテーションの人数も少なかったので、先発のマウンドに登る人数も限られるわけですから今よりもエース同士の対決が見られるのは自然なことだったかと思います。交流戦の導入も同一リーグ内という条件でエース対決が減った大きな理由の一つでしょう(それ以上に効果があるのはもちろんです)。加えて、エースだからこそコンディションを整えて万全の体勢で送り出すことを優先している面は以前のコラム「各チームの投手運用」でも見えてきます。そこで、所謂「エースに対しエースをぶつける」という作戦は、今ではそれほど重要視していないのではないかという現実に至る考えも出来ます。
一件だけ気になったのは、「涌井vs成瀬」の横浜高先輩後輩対決。これは話題を誘う戦略だろうと一瞬思いましたが、対決した6度は全て同じ登板間隔(中6日が5度、開幕戦が1度)ということで、何の策略も無かったようです。
3、エース対決でも勝敗の分かれ目はランサポート?真の勝者は?

次は、エース対決での味方の援護についてです。チームによって打力の違いがある以上、勝敗の不公平は起こりえるものですが、それがエース対決にも大きく作用しているのか見て参りましょう。左は本人の成績、右が相手投手の成績(援護状況)です。ランサポートという集計方法もありますが、エース対決のサポートをより濃く反映させるため、投手側の視点で捉えることにします。
ダルビッシュ・・・・如何なる相手でも圧倒的な成績は変わらず。数字的には期間中トータルの成績よりも優れています。対して、味方打線のエース攻略については1点以上のアドバンテージは作ってはいるものの、7度の完投(内2度の完封)を許し十分とはいえない数字で、大きく勝ち越せない理由の一つかもしれません。
岩隈・・・・・期間中トータルでの防御率からかなり引き上げられています。味方打線はかなり抑え込まれていますが、それでも4つの貯金があるとおりエース対決では普段以上の勝負強さを発揮しています。
杉内・・・・CSでの炎上が響き、今回7投手の中では最も悪い防御率。打線も奮わないようです。ただし、
終盤で優勝を決めた完封勝利を始めとした昨年の成績は3勝1敗という結果でした。
涌井・・・・防御率、WHIP、QS率とも普段と変わらない状況。打線のチームにしては援護の不足している点がらしくないといえばそうなります。
田中将・・・今季は成瀬、涌井との対決で勝利するなどさらに力を着けて来ています。高卒1年目シーズンのまだ安定感の増していない時期から集計対象となっているせいか、今ではもう少し良好な結果を期待してよいのではと思います。援護については、同僚の岩隈よりもサポートを得ているようです。
成瀬・・・対戦相手の防御率は3.78と、この中で最も援護を受けています。この点が大きく勝ち越している主な理由でしょう。
金子・・・・打線がかなり抑え込まれていますが、3度の完封勝利で勝敗を五分にしているようです。
結果として、成瀬の最多勝は打線の援護が働いた面を強く感じました。投球結果で優位に立ったのはダルビッシュ、岩隈、成瀬の3人で、杉内、涌井、金子がやや劣勢。田中将はほぼ互角ということでした。
この中から、勝敗や対戦回数、打線のサポートなども含めて考えると、今のところエース対決で最も光っているのは岩隈だといえます。
4、エース対決には隔たりがある?

実はこのエース対決はある一定の時期に集中しており、また6月から8月上旬にかけては中々実現しないという統計結果が出ています。各投手の登板した機会数と、登板数から割り出した実現率を表したものが上にありますが、4月までに全体の40%が消化されています。当たり前のことですが、開幕戦で先ずエース同士がぶつかり合い、その後数回は同じサイクルでローテーションが動きますので集中するのは当然です。それから少し経ち、幾つかの理由(雨天中止、日程、編成)で開幕投手のサイクルにズレが生じ、GW明けの交流戦で一旦は途切れます。そして、リーグ戦再開後に足並みが揃う訳でも無くオールスターブレイクを挟みますが、ここで選出されたか否かで後半戦のスタートが噛みあわなくなります。そして、ようやくシーズン終盤も差し迫った時期にCS進出をかけてようやく実現するという流れになるのでしょうか。ASブレイクの期間が昔に比べて短くなったのも、エース対決が遠ざかる理由の一つでしょう。
これから夏休みに入る期間にエース同士の対戦が中々実現しないというデータは、少々残念な気持ちが生まれてしまいますが、登板間隔を悪戯に変えてまでそこに拘る必要があるのかというと、恐らく殆どの監督がそう考えてはいないのではないかと思います。2の項目にも関連しますが、それだけローテーションの運用に気を配っていることも考慮すべき点ではないかと思います。
こうしてランダムに巡ってくるエース対決ですが、実現すれば普段以上に楽しみが増えるのは確かで、しかも今ではどの球団にもそうした投手が存在しているのは観戦、応援する立場としてとても幸せなことなのでしょう。
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