得点環境の変化
Baseball Lab [ 著者コラム一覧 ]
開幕から40試合前後を消化し、これまでのシーズンと異なる得点環境になっているのが明らかになってきました。統一球の導入によって、NPBの歴史を振り返っても、最も得点が入りにくかった期間と同じような環境になっています。詳しい内容は後日各著者からリポートされると思いますが、今回は視覚的にどれだけ得点が入りにくくなったのか簡単に見て頂ければ幸いです。今年のプロ野球は昨年までの感覚や基準で見てしまうと多くの誤解や不当な評価につながりかねないシーズンです。また、野球の戦術もこれまでの常識が通用しない場合も想定され、この状況が続くなら再検証が必要になりそうです。
1.平均得点の劇的変化と得点分布

上のグラフはリーグ別に2リーグ制以降の平均得点をまとめたものになります。グラフの最後を見ればわかるように、昨年から平均得点が1点以上(セ・リーグが1.22、パ・リーグが1.02)も下落しています。この変化が1年間続けば、2リーグ制以降1年間で最も大きい変動になります。さらに現在の得点状況を見てください(グラフの左側と比較)。セ・リーグは3.13、パ・リーグは3.45と、2リーグ制以降最も得点が入らなかった1950年代中盤から1960年代と同等かそれより少ない得点しか挙げられていません。おそらく30代以下のプロ野球ファンは、この様な環境でのプロ野球を見たことはないはずで、これまで当たり前だったプロ野球の感覚で見てしまうと、チームや選手の評価を正しく行えなくなるでしょう。
この感覚を具体的に示したのが得点分布の変化です。

昨年の得点分布と比較していますが、0・1・2得点の割合が多くなっています。特にセ・リーグは無得点試合がほぼ倍増し、連続イニング無得点記録(連続イニング無失点記録)などが、開幕から取りざたされています。今年は1試合0~3得点で終了する割合が60%もあり、多くの得点が望めないのがわかります。
2.得点の源である出塁率×長打率(ISO)
得点を奪う上で基本となるのは出塁率と長打率(ISO)になります。この2つの値が向上すれば得点が上がり、逆に下がれば得点を多く取ることは難しくなります。昨季と今季ここまでの数値を比較してみましょう。各グラフは横軸が出塁率、縦軸がISOになります。グラフの+はリーグの平均を表し、右上にいくほど得点力が上がると考えられます。

2010年のセ・リーグは阪神が出塁率と長打率、巨人が長打率でリーグの平均を大きく上回り、リーグで傑出した得点力を誇っていました。その他の4球団は、長打力に差はありませんが、出塁能力でかなりの差があったことがわかります。

統一球が導入された2011年になって、出塁・長打力ともにリーグ平均が大幅に下がっています。それを踏まえて各チームを見ると、特に長打力(ISO)の値が平均化しています。巨人・阪神は長打力で他チームに差をつけていたところを打ち消されてしまいました。広島を除いた5球団(ヤクルトが出塁・長打ともに良い数字です)にそれほど大きな長打力の差はなく、出塁能力の差が得点力の差になりそうな状況です。
続いてパ・リーグも見ていきましょう。

昨年は出塁・長打力ともに備わった西武、出塁能力のロッテ、長打力のオリックスがリーグの平均を上回る攻撃力を有していました。ソフトバンクは出塁面で日本ハム・楽天は出塁・長打両面で課題がありました。

2011年のここまでを見ると、セ・リーグと同じように出塁・長打両面でリーグ平均が下がっています。そのような中でソフトバンク・日本ハムは補強や選手の入れ替えで攻撃力の改善に成功しています。ロッテは出塁能力を維持していますが、西武は統一球の影響もあり出塁面で数字を落としてしまっています。楽天はこの環境でかなり苦しい状況に陥ってしまったようです。
今回はリーグ全体を大まかに捉えるためのデータになります。この様な環境の変化をつかんでおくことで、今行われている野球を別の視点・感覚から捉えられる可能性が高まります。今後も今回の様な得点環境に関するリポートは定期的に掲載する予定です。
1.平均得点の劇的変化と得点分布

上のグラフはリーグ別に2リーグ制以降の平均得点をまとめたものになります。グラフの最後を見ればわかるように、昨年から平均得点が1点以上(セ・リーグが1.22、パ・リーグが1.02)も下落しています。この変化が1年間続けば、2リーグ制以降1年間で最も大きい変動になります。さらに現在の得点状況を見てください(グラフの左側と比較)。セ・リーグは3.13、パ・リーグは3.45と、2リーグ制以降最も得点が入らなかった1950年代中盤から1960年代と同等かそれより少ない得点しか挙げられていません。おそらく30代以下のプロ野球ファンは、この様な環境でのプロ野球を見たことはないはずで、これまで当たり前だったプロ野球の感覚で見てしまうと、チームや選手の評価を正しく行えなくなるでしょう。
この感覚を具体的に示したのが得点分布の変化です。

昨年の得点分布と比較していますが、0・1・2得点の割合が多くなっています。特にセ・リーグは無得点試合がほぼ倍増し、連続イニング無得点記録(連続イニング無失点記録)などが、開幕から取りざたされています。今年は1試合0~3得点で終了する割合が60%もあり、多くの得点が望めないのがわかります。
2.得点の源である出塁率×長打率(ISO)
得点を奪う上で基本となるのは出塁率と長打率(ISO)になります。この2つの値が向上すれば得点が上がり、逆に下がれば得点を多く取ることは難しくなります。昨季と今季ここまでの数値を比較してみましょう。各グラフは横軸が出塁率、縦軸がISOになります。グラフの+はリーグの平均を表し、右上にいくほど得点力が上がると考えられます。

2010年のセ・リーグは阪神が出塁率と長打率、巨人が長打率でリーグの平均を大きく上回り、リーグで傑出した得点力を誇っていました。その他の4球団は、長打力に差はありませんが、出塁能力でかなりの差があったことがわかります。

統一球が導入された2011年になって、出塁・長打力ともにリーグ平均が大幅に下がっています。それを踏まえて各チームを見ると、特に長打力(ISO)の値が平均化しています。巨人・阪神は長打力で他チームに差をつけていたところを打ち消されてしまいました。広島を除いた5球団(ヤクルトが出塁・長打ともに良い数字です)にそれほど大きな長打力の差はなく、出塁能力の差が得点力の差になりそうな状況です。
続いてパ・リーグも見ていきましょう。

昨年は出塁・長打力ともに備わった西武、出塁能力のロッテ、長打力のオリックスがリーグの平均を上回る攻撃力を有していました。ソフトバンクは出塁面で日本ハム・楽天は出塁・長打両面で課題がありました。

2011年のここまでを見ると、セ・リーグと同じように出塁・長打両面でリーグ平均が下がっています。そのような中でソフトバンク・日本ハムは補強や選手の入れ替えで攻撃力の改善に成功しています。ロッテは出塁能力を維持していますが、西武は統一球の影響もあり出塁面で数字を落としてしまっています。楽天はこの環境でかなり苦しい状況に陥ってしまったようです。
今回はリーグ全体を大まかに捉えるためのデータになります。この様な環境の変化をつかんでおくことで、今行われている野球を別の視点・感覚から捉えられる可能性が高まります。今後も今回の様な得点環境に関するリポートは定期的に掲載する予定です。
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Baseball Lab「Archives」では2010~2011年にかけてラボ内で行われた「セイバーメトリクス」のコンテンツを公開しております。
野球を客観視した独自の論評、分析、および研究を特徴として、野球に関するさまざまな考察をしています。
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