審判の偏り~Part2
時光順平 [ 著者コラム一覧 ]
1.はじめに
前回の分析では、審判の見逃し三振についての偏りについて検証していった。審判を7つの群に分け、それぞれの群に見逃し三振について偏りがあるかを検証し、偏りがある群についてはどのような偏りがあるかを分析していった。その結果、第1群、第2群、第7群の審判に偏りがあることが分かり、第2群に関しては、左投手・右投手による偏りがあることが分かった。今回は前回発見することが出来なかった、第1群と第7群にどんな偏りがあるかを見ていこう。
2.コースによる偏り
審判の偏りを検証するに当たり前回は、打者の目線から偏りを考えていった。今回も打者目線から、偏りを考えていこう。今回検証していく偏りは、コースについての偏りである。審判が見逃し三振をとったコースから、偏りがないかを検証していく。
まず、前回も使用した分散分析を使用し第1群、第7群の各審判に、コースによって見逃し三振率に差があるかを見ていく。使用するデータは、過去5年間の審判データである。各審判のコース別見逃し三振率は、表2.1、表2.2である。


これらのデータを分散分析にかけると、以下のような結果出た。


ここでP-値を見ていく。P-値とは各審判間に差がない確率を表している。したがって最大値は1である。第1群の方は、0.304924と高い数値であるが第7群の方は、0.001302である。したがって、第1群ではコースによっての偏りが見られなかったが、第7群では、コースによっての偏りがあることが分かった。
では、第7群の偏りについてもう少し見ていこう。アウトコース(外)、真ん中(中)、インコース(内)という3つのコースについて見ていったが、どこのコースに偏りがあるか検証していく。ここでの検証方法は、テューキーの方法である。この方法は、前回のダネットの方法と同様、仮説検定の一種であり、複数の群の平均に差があるかを検定する方法である。
今回は、アウトコース、真ん中、インコース3つの群の平均に差があるかを検証していく。仮説検定なので、まず仮説を立てる。今回は、3つの平均の差を検定するので仮説を3つ立てる。ここで立てた仮説は
①「第7群のアウトコースの見逃し三振率と真ん中の見逃し三振率は等しい」
②「第7群のアウトコースの見逃し三振率とインコースの見逃し三振率は等しい」
③「第7群のインコースの見逃し三振率と真ん中の見逃し三振率は等しい」
である。
まず、各コースの平均、分散と誤差分散と誤差自由度を求める。なお、これらの言葉は、前回の分析の時に説明したものと同じ意味である。各コースの平均、分散および誤差分散と誤差自由度を表2.5に示す。

ここから、統計量を求め棄却限界値と比べて仮説が棄却されるかを判断する。今回の棄却限界値は、3.776であった。統計量とその結果は表2.6である。

今回も前回と同様に、平均見逃し三振率に差がないということを検証するので、両側検定を用いる。そのため、統計量の絶対値と棄却限界値を比べる。表2.6から、先ほど立てた仮説の①と②が棄却されたことになり、③の仮説は正しいという結果になった。つまり、3つのコースの見逃し三率を比べると、アウトコースに偏りがあるということが分かった。
3.打者に対しての偏り
では、第1群の偏りについて検証していこう。今回検証する偏りは、左打者と右打者についての偏りである。前回は左投手・右投手の偏りを見ていったが、今回は打者の右・左について考えていく。検証方法は前回と同じく、等平均検定である。ここで使用するデータは、第1群の審判が1人の打者に対して、1年間に平均どのくらい見逃し三振を取るかというものである。そのデータが表3.1である。

このデータを使用して検定を行う。仮説検定ということなので、まず仮説を立てる。今回の仮説は
「第1群の右打者に対しての平均見逃し三振数と、左打者に対しての平均見逃し三振数は等しい」
である。
右打者・左打者の過去5年間の平均と分散は、表3.2 である。

表3.2から統計量を求め、統計量と棄却域を比べて仮説が正しいかどうかを判断する。今回も有意水準は、0.05と設定した。統計量とその結果は、表3.3である。
表3.3を見ると、統計量が棄却域内であるため仮説が棄却されることになる。つまり、第1群の偏りは、右打者・左打者によるものということが分かった。この場合、統計量がマイナスであるため、左打者に偏りがあることになる。
4.まとめ
前回発見できなった、第1群と第7群の偏りを今回発見することが出来た。それぞれ、第7群は、コースに対する偏り。第1群は、打者に対しての偏りであった。人間が判断することなので、偏りが出てきてしまうのはしょうがないことである。
試合をしている選手からすれば、偏りがあるのは、どちらかというとあまり良くないと思う選手がいるであろう。しかし、各審判の偏りが分かることで、監督の采配や、選手のプレーの選択肢が1つ増える場合もあるだろう。
前回と今回は、見逃し三振について取り上げてきたが、今度は四球について分析をしてこうと考えている。
前回の分析では、審判の見逃し三振についての偏りについて検証していった。審判を7つの群に分け、それぞれの群に見逃し三振について偏りがあるかを検証し、偏りがある群についてはどのような偏りがあるかを分析していった。その結果、第1群、第2群、第7群の審判に偏りがあることが分かり、第2群に関しては、左投手・右投手による偏りがあることが分かった。今回は前回発見することが出来なかった、第1群と第7群にどんな偏りがあるかを見ていこう。
2.コースによる偏り
審判の偏りを検証するに当たり前回は、打者の目線から偏りを考えていった。今回も打者目線から、偏りを考えていこう。今回検証していく偏りは、コースについての偏りである。審判が見逃し三振をとったコースから、偏りがないかを検証していく。
まず、前回も使用した分散分析を使用し第1群、第7群の各審判に、コースによって見逃し三振率に差があるかを見ていく。使用するデータは、過去5年間の審判データである。各審判のコース別見逃し三振率は、表2.1、表2.2である。


これらのデータを分散分析にかけると、以下のような結果出た。


ここでP-値を見ていく。P-値とは各審判間に差がない確率を表している。したがって最大値は1である。第1群の方は、0.304924と高い数値であるが第7群の方は、0.001302である。したがって、第1群ではコースによっての偏りが見られなかったが、第7群では、コースによっての偏りがあることが分かった。
では、第7群の偏りについてもう少し見ていこう。アウトコース(外)、真ん中(中)、インコース(内)という3つのコースについて見ていったが、どこのコースに偏りがあるか検証していく。ここでの検証方法は、テューキーの方法である。この方法は、前回のダネットの方法と同様、仮説検定の一種であり、複数の群の平均に差があるかを検定する方法である。
今回は、アウトコース、真ん中、インコース3つの群の平均に差があるかを検証していく。仮説検定なので、まず仮説を立てる。今回は、3つの平均の差を検定するので仮説を3つ立てる。ここで立てた仮説は
①「第7群のアウトコースの見逃し三振率と真ん中の見逃し三振率は等しい」
②「第7群のアウトコースの見逃し三振率とインコースの見逃し三振率は等しい」
③「第7群のインコースの見逃し三振率と真ん中の見逃し三振率は等しい」
である。
まず、各コースの平均、分散と誤差分散と誤差自由度を求める。なお、これらの言葉は、前回の分析の時に説明したものと同じ意味である。各コースの平均、分散および誤差分散と誤差自由度を表2.5に示す。

ここから、統計量を求め棄却限界値と比べて仮説が棄却されるかを判断する。今回の棄却限界値は、3.776であった。統計量とその結果は表2.6である。

今回も前回と同様に、平均見逃し三振率に差がないということを検証するので、両側検定を用いる。そのため、統計量の絶対値と棄却限界値を比べる。表2.6から、先ほど立てた仮説の①と②が棄却されたことになり、③の仮説は正しいという結果になった。つまり、3つのコースの見逃し三率を比べると、アウトコースに偏りがあるということが分かった。
3.打者に対しての偏り
では、第1群の偏りについて検証していこう。今回検証する偏りは、左打者と右打者についての偏りである。前回は左投手・右投手の偏りを見ていったが、今回は打者の右・左について考えていく。検証方法は前回と同じく、等平均検定である。ここで使用するデータは、第1群の審判が1人の打者に対して、1年間に平均どのくらい見逃し三振を取るかというものである。そのデータが表3.1である。

このデータを使用して検定を行う。仮説検定ということなので、まず仮説を立てる。今回の仮説は
「第1群の右打者に対しての平均見逃し三振数と、左打者に対しての平均見逃し三振数は等しい」
である。
右打者・左打者の過去5年間の平均と分散は、表3.2 である。

表3.2から統計量を求め、統計量と棄却域を比べて仮説が正しいかどうかを判断する。今回も有意水準は、0.05と設定した。統計量とその結果は、表3.3である。

表3.3を見ると、統計量が棄却域内であるため仮説が棄却されることになる。つまり、第1群の偏りは、右打者・左打者によるものということが分かった。この場合、統計量がマイナスであるため、左打者に偏りがあることになる。
4.まとめ
前回発見できなった、第1群と第7群の偏りを今回発見することが出来た。それぞれ、第7群は、コースに対する偏り。第1群は、打者に対しての偏りであった。人間が判断することなので、偏りが出てきてしまうのはしょうがないことである。
試合をしている選手からすれば、偏りがあるのは、どちらかというとあまり良くないと思う選手がいるであろう。しかし、各審判の偏りが分かることで、監督の采配や、選手のプレーの選択肢が1つ増える場合もあるだろう。
前回と今回は、見逃し三振について取り上げてきたが、今度は四球について分析をしてこうと考えている。
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野球を客観視した独自の論評、分析、および研究を特徴として、野球に関するさまざまな考察をしています。
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