鳥谷・川崎・中島 30代を迎える遊撃手の将来~Part2
岡田友輔 [ 著者コラム一覧 ]
先日は有力な遊撃手の年齢の影響や持っている能力によって、選手の活動期間に影響があるのか簡単に見てきました。本日は具体的に川崎・鳥谷・中島選手が今後どのようなキャリアを描いていくのか過去の同じようなタイプの選手を参考に考えていきましょう。選手の年齢の影響やタイプ分けについては鳥谷・川崎・中島30代を迎える遊撃手の将来~Part1を参考にしてください。
1.川崎選手の場合

今までの成績から川崎選手はスピード(orスピード+目)タイプの選手と考えて今後を占っていきましょう。スピードを武器として活躍してきた有力な遊撃手は河野・八田・本屋敷・木塚・高橋慶・野村といったメンバーになります。スピードに加え目の能力も付随するとして考慮するなら、吉田・西園寺・阪本・河埜・石井といったところが参考になりそうです。


川崎選手はスピードに関しては文句なしですが、目の能力について検討が必要でしょう。三振する割合は打席の1割強ですが、四球を選ぶ割合はそれほど高くありません。前述のスピードタイプ(野村)、スピード+目(石井)と比較すると野村選手に近いかもしれません。下のグラフはスピードを武器にした川崎選手と同タイプの遊撃手が、キャリアでどういった貢献をチームにもたらしたのか見たものです。

チームへの貢献は30代のかなり早い時期までが大半。もっとも参考になりそうな野村選手も同じような傾向があります。

このタイプは30前後でスピードの衰えを見せる選手が多い。スピードの低下とともにチームへの貢献も減少していく。

キャリアの晩年に三振の割合が多くなる選手が散見される。
■川崎選手の将来について(スピードタイプ)の傾向
・スピードの衰えは選手生命に直結
・三振の割合増加は危険な兆候
・チームへの貢献や能力的に野村選手が参考になりそう
◎川崎選手のストロングポイント
・29歳でキャリア最高のWin Sharesを記録
・今のところスピードの衰えを確認できない
◎川崎選手のウィークポイント
・四球をそれほど選ぶタイプではない
・パワーがないだけにスピードを失った場合はかなり不安
・ここ2年で打席に占める三振の割合(K%)が増えているのは気がかり
川崎選手に関してすぐに心配する必要はないです。しかし、同じようなタイプの選手を見ると3~4年後はスピードが衰えてチームに貢献できなくなる可能性はありそうです。スピードに関する数字や足回りの故障には敏感にならざるを得ません。
2.鳥谷、中島選手の場合
同じように鳥谷選手と中島選手について検討していきましょう。




基本となるスピードに関しては、平均的な鳥谷選手と平均よりやや高い中島選手になります。二人に共通するのは、四球を選ぶ(目)能力がある点です。鳥谷選手は入団から、中島選手はここ数年で四球を選ぶ割合が大きく向上しています。パワーに関して中島選手はISOが2割前後と文句なしの成績です。鳥谷選手も甲子園+飛ばないボールの環境下でかなりISOをあげてきたため、パワーのある遊撃手として分類しました。過去の遊撃手でパワーと目の能力があるのは藤田平・石毛宏典が参考になりそうです(参考のためパワーのみの選手も追記しています)。

パワーのある遊撃手はスピードタイプに比べると選手寿命が長い場合が多いようです。パワーを生かしたコンバートなど遊撃手以外のポジションでプレーできる点が有利に働いています(一般的な遊撃手では、コンバート先で求められる打撃が備わっていないため遊撃手を務められないと自動的に引退へのカウントダウンが始まってしまいます)。

遊撃手の基本となるスピードは30代前半で衰える選手が多いようです。

パワーに関してはキャリアの終盤まで持続する選手が多いようです。

キャリア終盤の三振割合が上がるのは危険な兆候といえそうです。
■パワーに加え目の能力があるタイプのまとめ
・スピードの衰え時にはコンバートも選択肢に
・スピードが先に衰え、パワーも陰りが見えるとキャリア終盤
・能力的に両選手ともに石毛選手が参考になりそう
■鳥谷選手の将来について(パワー+目)の傾向
◎ストロングポイント
・29歳でキャリア最高のWin Sharesを記録
・2010年にスピードで自己最高を記録
・ISOがここ2年で底上げ
・四球を選ぶ割合は依然として高い
◎ウィークポイント
・とくに見当たらない
■中島選手
◎ストロングポイント
・26~28歳は毎年リーグトップクラスの25WSを記録
・スピード、パワーともに堅調
・ここ数年四球を選ぶ割合が増加
◎ウィークポイント
・とくに見当たらない
鳥谷・中島両選手に関しては、今のところ心配する要素はない状況です。彼らをかかえるチームにとっては、3年程度の契約期間なら活躍を十分期待できる状態といえそうです。二人の様な打てる遊撃手という希少価値の高い選手が市場に出てくれば、リーグ内の力関係を変化させてしまう可能性を秘めています。
3.選手のタイプ分類と将来予測
チームを運営するフロントは、選手の現状を把握することに加えて、将来的な価値をつかんでおく必要があります。成績予測は様々な方法がありますが、予測をする上で身体情報・成績などから選手をタイプ別にしていく方法はかなり有効だと考えられています。似ている選手の考察は、古くはB.JamesのSimilarity Scores、最近ではBaseball Prospectusが選手成績予測(PECOTA)で、独自のSimilarity Scoresを使っているのは有名です。PECOTAの分類には膨大な過去選手の成績データだけでなく、ポジション・身長・体重・年齢・利き腕などさまざま条件を加味しているようです。今回の試みはわずかなサンプルと限られた項目で選手のタイプ分けをしているなどまだまだ不完全です。将来的に成績予測を考えていく上で、似たような選手群から予測する方法を確立したいところです。
本場MLBの成績予測はまずまずの精度で選手の成績を予測しています。予測には完ぺきをもとめたくなりますが、ある程度の精度があれば経験や勘などの主観的な見解とデータから求められた客観的な推測値を合わせ、これまでより合理的な判断が下せる割合が高まります。
1.川崎選手の場合

今までの成績から川崎選手はスピード(orスピード+目)タイプの選手と考えて今後を占っていきましょう。スピードを武器として活躍してきた有力な遊撃手は河野・八田・本屋敷・木塚・高橋慶・野村といったメンバーになります。スピードに加え目の能力も付随するとして考慮するなら、吉田・西園寺・阪本・河埜・石井といったところが参考になりそうです。


川崎選手はスピードに関しては文句なしですが、目の能力について検討が必要でしょう。三振する割合は打席の1割強ですが、四球を選ぶ割合はそれほど高くありません。前述のスピードタイプ(野村)、スピード+目(石井)と比較すると野村選手に近いかもしれません。下のグラフはスピードを武器にした川崎選手と同タイプの遊撃手が、キャリアでどういった貢献をチームにもたらしたのか見たものです。

チームへの貢献は30代のかなり早い時期までが大半。もっとも参考になりそうな野村選手も同じような傾向があります。

このタイプは30前後でスピードの衰えを見せる選手が多い。スピードの低下とともにチームへの貢献も減少していく。

キャリアの晩年に三振の割合が多くなる選手が散見される。
■川崎選手の将来について(スピードタイプ)の傾向
・スピードの衰えは選手生命に直結
・三振の割合増加は危険な兆候
・チームへの貢献や能力的に野村選手が参考になりそう
◎川崎選手のストロングポイント
・29歳でキャリア最高のWin Sharesを記録
・今のところスピードの衰えを確認できない
◎川崎選手のウィークポイント
・四球をそれほど選ぶタイプではない
・パワーがないだけにスピードを失った場合はかなり不安
・ここ2年で打席に占める三振の割合(K%)が増えているのは気がかり
川崎選手に関してすぐに心配する必要はないです。しかし、同じようなタイプの選手を見ると3~4年後はスピードが衰えてチームに貢献できなくなる可能性はありそうです。スピードに関する数字や足回りの故障には敏感にならざるを得ません。
2.鳥谷、中島選手の場合
同じように鳥谷選手と中島選手について検討していきましょう。




基本となるスピードに関しては、平均的な鳥谷選手と平均よりやや高い中島選手になります。二人に共通するのは、四球を選ぶ(目)能力がある点です。鳥谷選手は入団から、中島選手はここ数年で四球を選ぶ割合が大きく向上しています。パワーに関して中島選手はISOが2割前後と文句なしの成績です。鳥谷選手も甲子園+飛ばないボールの環境下でかなりISOをあげてきたため、パワーのある遊撃手として分類しました。過去の遊撃手でパワーと目の能力があるのは藤田平・石毛宏典が参考になりそうです(参考のためパワーのみの選手も追記しています)。

パワーのある遊撃手はスピードタイプに比べると選手寿命が長い場合が多いようです。パワーを生かしたコンバートなど遊撃手以外のポジションでプレーできる点が有利に働いています(一般的な遊撃手では、コンバート先で求められる打撃が備わっていないため遊撃手を務められないと自動的に引退へのカウントダウンが始まってしまいます)。

遊撃手の基本となるスピードは30代前半で衰える選手が多いようです。

パワーに関してはキャリアの終盤まで持続する選手が多いようです。

キャリア終盤の三振割合が上がるのは危険な兆候といえそうです。
■パワーに加え目の能力があるタイプのまとめ
・スピードの衰え時にはコンバートも選択肢に
・スピードが先に衰え、パワーも陰りが見えるとキャリア終盤
・能力的に両選手ともに石毛選手が参考になりそう
■鳥谷選手の将来について(パワー+目)の傾向
◎ストロングポイント
・29歳でキャリア最高のWin Sharesを記録
・2010年にスピードで自己最高を記録
・ISOがここ2年で底上げ
・四球を選ぶ割合は依然として高い
◎ウィークポイント
・とくに見当たらない
■中島選手
◎ストロングポイント
・26~28歳は毎年リーグトップクラスの25WSを記録
・スピード、パワーともに堅調
・ここ数年四球を選ぶ割合が増加
◎ウィークポイント
・とくに見当たらない
鳥谷・中島両選手に関しては、今のところ心配する要素はない状況です。彼らをかかえるチームにとっては、3年程度の契約期間なら活躍を十分期待できる状態といえそうです。二人の様な打てる遊撃手という希少価値の高い選手が市場に出てくれば、リーグ内の力関係を変化させてしまう可能性を秘めています。
3.選手のタイプ分類と将来予測
チームを運営するフロントは、選手の現状を把握することに加えて、将来的な価値をつかんでおく必要があります。成績予測は様々な方法がありますが、予測をする上で身体情報・成績などから選手をタイプ別にしていく方法はかなり有効だと考えられています。似ている選手の考察は、古くはB.JamesのSimilarity Scores、最近ではBaseball Prospectusが選手成績予測(PECOTA)で、独自のSimilarity Scoresを使っているのは有名です。PECOTAの分類には膨大な過去選手の成績データだけでなく、ポジション・身長・体重・年齢・利き腕などさまざま条件を加味しているようです。今回の試みはわずかなサンプルと限られた項目で選手のタイプ分けをしているなどまだまだ不完全です。将来的に成績予測を考えていく上で、似たような選手群から予測する方法を確立したいところです。
本場MLBの成績予測はまずまずの精度で選手の成績を予測しています。予測には完ぺきをもとめたくなりますが、ある程度の精度があれば経験や勘などの主観的な見解とデータから求められた客観的な推測値を合わせ、これまでより合理的な判断が下せる割合が高まります。
Baseball Lab「Archives」とは?
Baseball Lab「Archives」では2010~2011年にかけてラボ内で行われた「セイバーメトリクス」のコンテンツを公開しております。
野球を客観視した独自の論評、分析、および研究を特徴として、野球に関するさまざまな考察をしています。
野球を客観視した独自の論評、分析、および研究を特徴として、野球に関するさまざまな考察をしています。
月別著者コラム
最新コラムコメント
|
|
|
|
|
コメント