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コラム

捕手の総合力比較

蛭川皓平 [ 著者コラム一覧 ]

投稿日時:2010/12/10(金) 10:00rss

1. 城島健司VS阿部慎之助
 
 以前のコラム(「打撃成績を得点換算で評価する」)では、Batting Runsという評価手法を紹介し、200安打を達成した選手を中心として打者の合理的な評価を行った。Batting Runsとは一言で言えば「同じ打席数をリーグの平均的な打者が打つ場合に比べて打撃でどれだけ得点を増やしたか」という指標であった。
 
 200安打に続くトピックとしてシーズン終了時から気になっていたのは、今年2010年にMLBから日本プロ野球に復帰した、阪神の城島健司の活躍はどれほどだったか、ということである。特にセ・リーグの捕手にはここ数年際立った存在感を放つ阿部慎之助がおり、この二人の競争として見るのは非常にレベルが高く、面白い。
 
 そこで今回は、Batting Runsを応用しつつ城島と阿部を中心とした捕手の評価を定量的に行ってみたい。捕手としての貢献を考える上では特に外すことのできない守備についても分析をし、総合的に評価をする。
 

2.基準と条件をそろえる
 
 単純に城島と阿部のBatting Runsを求めて比較するだけでも有効な比較にはなると思われるが、今回は捕手という役割の特殊性に注目し、通常とは基準を変えることにした。Batting Runsは普通「リーグ平均の打者」との比較を行うが、一般に捕手は他の守備位置の野手よりは打力の劣る選手が多い。守備の負担が大きいからである。従って通常捕手のBatting Runsの数字は全体的に低いものとなるが、それをそのまま受け取ると「彼らは総じて打力が低い」ということだけが目立つ結果となり、それぞれの特徴をとらえ損ねる危険があるし、その水準が捕手として許容範囲なのか否かということも判断ができない。
 
 そこでリーグ平均の打者を0とするのではなく、リーグ平均の捕手が0となるように計算をする。要するに、実質的な中身は変わらないが「げたを履かせる」形で補正をし、見た目をわかりやすくするということである。例えば、平均と比較して-5の評価の打者であっても、そのレベルが捕手として平均的であれば0という評価となって表れる。わざわざこのようにするのは後から守備も含めるときに守備位置内の閉じた比較としてわかりやすくするためでもある。今回はさらに、球場ごとの投手有利/打者有利を示す指標であるパークファクターを用いた補正も行った。
 
 以上の計算により、ここでのBatting Runsは「球場の条件の違いを補正した上で、同じ打席数をリーグの平均的な捕手が打つ場合に比べて打撃でどれだけ得点を増やしたか」という意味の指標となった。
 

3.打撃の評価
 
 さて、このBatting Runsにおいて、城島の数値は25.8。並の捕手が同じだけ打席に立つ場合に比べて26もチームの得点数を増やしたというのは、かなりの数字と言っていい。打率など一般的な指標で見ても優秀な城島だが、Batting Runsでもやはり優秀だった。
 
 しかし阿部はそのさらに上をいき、Batting Runsは41.0と出た。これは素晴らしいスコアである。捕手というすべてのチームが等しく抱える出場機会の中で競争優位を持つことは重要である。巨人は阿部が捕手として出場し続けることによって、少なくとも打撃では、莫大(ばくだい)な利得を得ている。なお、阿部は捕手以外の出場もあるが捕手として出場しているときの打席がほぼすべてだったので特に区別せずに計算している。
 
 打撃に関しては、阿部のほうが城島に勝っていると言っていいだろう。彼らの他には、楽天の嶋(BR 24.4)、ロッテの里崎(BR 21.2)が特筆すべき優秀なスコアをたたき出している。ただしこれはリーグごとに分かれた比較であるから、必ずしも嶋や里崎が「城島より能力がやや下」であるといったことを意味するものではない。また、繰り返しになるが、野手全体の中での評価とも原理的に別問題である。
 
 捕手としてシーズンの半分である72試合以上出場した選手について、リーグの捕手を基準としたBatting Runs(打撃得点と表記)は以下の通りである。
 


選手 打撃得点
阿部 慎之助 41.0
城島 健司 25.8
相川 亮二 2.8
谷繁 元信 0.8
石原 慶幸 -4.5
武山 真吾 -24.3
 
 
 

選手 打撃得点
嶋 基宏 24.4
里崎 智也 21.2
日高 剛 8.5
上本 達之 5.2
大野 奨太 3.1
田上 秀則 -3.3
鶴岡 慎也 -4.9
細川 亨 -4.9
山崎 勝己 -5.0
的場 直樹 -11.9
鈴木 郁洋 -14.1
 

4.守備の評価
 
 ここからは守備の評価について考える。正直なところ、捕手が守備によってどれだけ貢献しているかを定量的に評価することは非常に難しい。よく言われる「リード」の良しあしなどはなかなか測定する方法がない。
 
 そこで本稿では割り切って「わかりやすく数値化できるところだけ数値化する」という方針をとりたい。うまく数値化できない部分が残ることは確かだが、すべてを精緻(せいち)に表せなければ意味がないというわけではない。大切なのは定量的に評価できることは定量的に評価し、その上で試合の観察などそのほかの情報と総合することである。そのために部分的にでも数値化をしておくということは対象世界の見通しをクリアにし、建設的に評価を考える上で役に立つはずである。
 
 まず、捕手については他の野手に対して行うような「飛んできた打球のうちどれだけをアウトにしているか」という観点の評価はなじまないし一般的な記録からは評価が難しい。客観的に残されている記録で捕手の評価に使えると考えられるものは主に、盗塁阻止、捕逸、失策の3項目である。これらの項目について平均的な捕手に比べて記録された数の多さを計測し、そこに得点期待値から割り出したそのプレーの一般的な価値を加重すると、捕手の守備が「同じイニング数を平均的な捕手が守る場合に比べてどれだけチームの得点を減らしたか」という形で数値化できる。Batting Runsの守備版である。相手に比べて得点数で上回るという勝利の目的の観点からは「自軍の得点を増やす」ことも「相手の得点を減らす」ことも等価であるから、この守備の評価はBatting Runsにそのまま足し合わせて「攻守総合して何点分貢献したか」という形にすることができる。このような点において、やはり得点に換算するという評価法は優れている。
 
 具体的な計算は、守備イニングに対して平均と比較してどれだけ許盗塁・盗塁刺・捕逸・失策があったかを求め、盗塁0.17、盗塁刺0.38、捕逸0.29、失策0.30の加重で行った。失策のみ得点価値の詳細な算出ができておらず加重は暫定的な値であるが、今後修正するとしても最終的な結果を大きく変化させる可能性は低い。
 
 例えば、今年のセ・リーグ全体では7681 1/3イニングで44の捕逸が記録された。つまり平均するとイニングあたり 44/7681.33=0.0057 の捕逸があったことになる。城島の守備イニング数は1257 1/3であったが、平均的な捕逸の頻度でこのイニング数を消化したとすると 1257.33×0.0057=7.2 となり7.2個の捕逸が記録されただろうと見積もることができる。これに対して城島の捕逸は4だったから、城島は3.2個の捕逸を「防いだ」と評価される。これが何点分に値するかと言えば、捕逸ひとつは平均的に0.29点の価値があるから 3.2×0.29=0.9 で、城島は捕逸を防ぐ能力によりチームの失点を約1点減らしたことになる。
 
 プレーの主観的なインパクトからすると影響が1点というのは小さく感じられるかもしれないが、統計的な得点期待値からの加重は捕逸が必ずしもそれほどチームの失点数を増やさないことを示しており、局面の発生には城島以外のファクターが多く関与することから平均的な加重を与えるのが妥当だとすれば、これは客観的に捕逸というプレーの影響を評価していることになる。
 
 同じようにして盗塁阻止・失策についても評価して合計すると、守備全体での貢献値が求められる。これを仮に守備得点と呼ぶとすると、城島は2.4とまずまずの数字(0を超えていれば平均的な捕手よりは優れているという評価)。この評価法で二けたに到達するようなことはほとんどなく、かといって微妙な数値の差には実力が現れるというより誤差の範囲であるので、プラスの数字が出ていれば取りあえず目に見えるレベルのプレーで問題はなさそうだ、くらいに判断しておくのが無難だろう。その意味で、阿部の守備得点は5.5でリーグ最優秀だが城島との間にはっきりした差があるとは言い難い。どちらも優秀だが、今年に関しては阿部のほうがやや良いパフォーマンスを発揮していた可能性がある、程度のことが言る。
 

 リーグごとの成績は以下の通り。
  

選手 盗塁阻止 捕逸 失策 守備得点
阿部 慎之助 3.9 -0.1 1.7 5.5
城島 健司 2.1 0.9 -0.5 2.4
谷繁 元信 2.4 0.2 -0.4 2.2
相川 亮二 0.9 -0.6 1.2 1.5
石原 慶幸 -0.4 0.4 0.4 0.4
武山 真吾 -2.5 0.6 0.0 -2.0
 
選手 盗塁阻止 捕逸 失策 守備得点
細川 亨 5.3 0.2 -0.3 5.3
鶴岡 慎也 3.6 -0.2 0.7 4.0
大野 奨太 2.5 0.4 0.7 3.6
山崎 勝己 2.6 0.8 -0.7 2.7
上本 達之 1.6 0.2 0.7 2.5
日高 剛 -0.2 0.4 0.3 0.5
嶋 基宏 -0.4 -0.3 -0.5 -1.3
里崎 智也 -1.9 0.0 0.3 -1.6
的場 直樹 -2.8 -0.2 0.1 -2.9
鈴木 郁洋 -2.9 -0.1 0.1 -2.9
田上 秀則 -5.4 -0.7 -0.4 -6.4
 
 打撃に比べて、選手ごとにそれほど点数に差がつかなくて意外かもしれない。しかしこれはあえて数字を大きくしようとも小さくしようともしておらず、単純に可能な数値化をしていった結果である。
 
 主観的に考えれば、城島を平均的な捕手に置き換えればいろいろと問題が生じそうであるが、数値はそれほどの影響力を示していない。このギャップについてはさまざまな考察が可能と思われるが、いずれにせよ安易に主観と統計のどちらかが間違っていると結論付けるのは危険である。統計は主観に表れない真実の一側面(実は捕手の守備ではさほど差はついていない可能性など)をとらえており、主観は統計に表れない真実の一側面(現在のところ定量的に計測されていない配球の技術や投手との信頼関係など)をとらえていると考えるのが妥当だろう。また、今回は直接評価の対象とはしていないが城島は盗塁を試みられた回数自体が明確に少なく、投手はそれにより投げやすさを得て失点阻止のパフォーマンスを多少なり向上させていた可能性があることはデータからも考えられる。
 
 過去数年前からたどった傾向としては細川や谷繁が例年優秀であり、阿部は全体的に見れば平均的という評価になる。なお、今季限りで引退することになった阪神の矢野も去年まで年齢を感じさせない優れたスコアでチームを支えていたことを付け加えておきたい。
 

5. 総合的な評価
 
 ここまでくれば、攻守を総合した評価をすることは至って簡単。打撃の評価と守備の評価の足し算である。そのまま計算すれば、平均的捕手と比べて攻守総合で「改善させたチームの得失点差収支」は以下のようになる。
 

選手 打撃得点 守備得点 総合得点
阿部 慎之助 41.0 5.5 46.5
城島 健司 25.8 2.4 28.3
相川 亮二 2.8 1.5 4.4
谷繁 元信 0.8 2.2 3.0
石原 慶幸 -4.5 0.4 -4.1
武山 真吾 -24.3 -2.0 -26.3
 
選手 打撃得点 守備得点 総合得点
嶋 基宏 24.4 -1.3 23.1
里崎 智也 21.2 -1.6 19.6
日高 剛 8.5 0.5 9.0
上本 達之 5.2 2.5 7.7
大野 奨太 3.1 3.6 6.6
細川 亨 -4.9 5.3 0.3
鶴岡 慎也 -4.9 4.0 -0.8
山崎 勝己 -5.0 2.7 -2.3
田上 秀則 -3.3 -6.4 -9.8
的場 直樹 -11.9 -2.9 -14.8
鈴木 郁洋 -14.1 -2.9 -17.0
 
 ご覧の通り、ほとんど打撃によって総合得点が決まっている。前述したようにこのことは評価法の問題である可能性もあるし、必ずしも評価法が実態とかけ離れた結果を出しているわけではない可能性もある。少なくとも1軍レベルの捕手の中で目に見える範囲での差は意外とついておらず、それらについて細かいことを追求するよりは打力の差で評価したほうが合理的かもしれないという可能性についてはデータが教えてくれていることなのかもしれない。
 
 冒頭から取り上げてきた城島と阿部の比較に関しては、阿部に軍配が上がったと言るだろう。阿部は平均的捕手と比べて46.5点の利得を生み出しており、これはすごい数字である。一方で城島の貢献度も非常に高い。さすがにMLB帰りのプレーヤーである。また、この二人によってレベルが上がっている中で、優勝チームの捕手である谷繁がしっかり仕事を果たしていることなども称賛に値する。
 
 パ・リーグでは嶋の貢献度が突出している。これまで打撃に課題を抱えていた嶋にとって非常に大きな進歩であり能力以上のものも合わさって数字に出ているように見受けられる。一方守備面ではもっと高い数字を出すポテンシャルを持っているようにも思え、今後どのような形で成熟を迎えるかにも注目である。里崎は少ない出場機会ながらさすがの能力と言うべきか。
 
 このような守備位置内での比較をするときに重要なのは、原則として各チームは同じ守備の編成を持ちそれぞれの選手を出場させなければならないということである。すなわち、チーム全体の得失点差の収支は「投手の守備位置内利得+捕手の守備位置内利得+一塁手の守備位置内利得+……+右翼手の守備位置内利得」というように、各守備位置におけるリーグ平均に対する利得の総和として考えることができる。従って、ある守備位置でプラスを出しているチームは他の守備位置でマイナスがあってもカバーすることができるし、逆にある守備位置で大きなマイナスを出しているチームは他の守備位置に優れた選手がいてもそれを食いつぶしてしまっているということである。チームが良い成績をおさめていくためには選手それぞれの貢献度と全体の収支をクールに考量しなければならない。
 
 勝率と得失点差は統計的に強く関連しており、一般的に優勝に必要な得失点差は100点ほどである。それを単純に9つ(あるいはDHを入れて10)の守備位置に割り振ると、各守備位置には平均と比較して10点くらいの働きが求められる。これは単なる思考実験における特殊なシナリオであるが、例えばそのように考えてみると守備位置内の比較において平均に対して30点や40点の利得を出すことの価値の高さがわかるのではないだろうか。
 

6.おわりに
 
 統計的な得点評価の観点から、捕手の攻守を数値化し評価を行った。細かい計算の方法はともかく攻撃と守備を同じ土俵に乗せて総合的に評価をすることの意義や面白みなどが伝わればと思う。課題としては守備の評価があくまでも部分的なものである点などがあるが、このようにある程度形にしてまとめることで選手評価のひとつの目安にはなるのではないかと考えている。

コメント

みんなの評価:4

 代打や代走で気軽に出場されられない分、控えの捕手は経験値があまり積めないという事情もありますが、多くのチームの捕手は、他のポジションにはたまにある「この控えがレギュラー分の打席と守備機会をもらえば、レギュラー以上の活躍の可能性もありそうなのに」というのも見られません。
 そんな中、阿部選手に特に問題がないのに鶴岡選手が(主に先発投手の関係で)先発する場面を置き換えられれば、さらに利得を積めそうな感じです。
(そんな単純な問題じゃないからこそ、先発するのでしょうが……ーー;)

 代替の利かないポジションでありまして、阿部選手や城島選手を失ったら(実際に阪神は一定期間失いそうな見込みですが)「同じぐらい活躍できる捕手」を探すより「他のポジションで補う」方が容易……となるのですが、この両チーム、代替が比較的楽そうなポジションの選手も軒並み主力級で、補強してもあまり上積みが狙えそうにないのがツライ所です。
 巨人は小笠原選手の対角内野、阪神は3人目の外野手または二塁手あたりでしょうか。
 阪神の平野選手は出塁率・長打率の内訳が高い打率によるものなので、来季に今季クラスの成績を見込むのはかなり怖そうですが……。
(個人的には打率に比して出塁率・長打率に優れた関本選手の奮起に期待したいところです)

 打てる捕手、打てる二遊間の選手などというのは、今後もとても価値が高いと言えそうです。
 この2チームの遊撃手もかなり他球団にアドバンテージを持ってそうですし。



 それにしても阿部選手の貢献度のものすごい事。
 阿部選手が一時期、一塁手で起用されていた時期に「阿部は捕手で出るから特上の戦力なんだ、一塁で出たら上の中ぐらいの価値しかない」などと知り合いが言っておりましたが、最近の成績ともなると、各球団のレギュラー一塁手クラスでもなかなか太刀打ちできないレベルですね。

評価: Posted by せるふぃむ at 2010/12/10 19:20:08 PASS:



評価: Posted by at 2010/12/11 02:26:53 PASS:

そもそも盗塁にチャレンジさせないというのも捕手の能力のひとつですから、盗塁阻止ではなく許盗塁で守備得点を出す方がよいのでは?

評価: Posted by 11 at 2010/12/11 09:04:09 PASS:

>せるふぃむ様

打てる捕手を保有するチームは、希少性という理由から他のチームに対して優位をとっていると言えますね。
優秀な捕手による利得の最大化と控えの捕手の活用というのはいわゆるトレードオフの関係にあるかと思いますが
今年の巨人くらいであれば、なんだかんだ言って阿部の出場は多いですし
故障が少ないとも言えない過去の経歴を考えると、少し休ませながら使うほうがいいかもしれないということで
ほぼマックスに近い利得を引き出しているのではないかと思います。


>11様

今回は客観的に起きた事象を評価する方針で固めました。
盗塁の企図自体を防ぐことを評価する手法もあるのですがいずれにせよ阻止による期待値の変化は重要なので省けないと考えています。
というのも、野球は総和ゼロゲーム(自軍の得点=相手の失点)ですから、利得の増減を客観的に捉えた場合
攻撃側からすると失敗する割合が多ければ得点期待値の毀損になるはずですが
盗塁した分だけを評価すると成功率に関わらず(0%でなければ)企図すればするほど盗塁においては得ということになってしまい整合性がとれず
プレーを得点の増減から評価するという観点からは成立しないからです。
なお、イニングで標準化されているので基準以下の阻止率であれば走られる回数が少ないほうが評価が高くなるということは反映されています。

Posted by 蛭川皓平 at 2010/12/11 13:51:21 PASS:

捕手のキャッチング能力を捕逸だけで評価出来る訳がないと思います。ショートバンド、ワンバウンドを止めた割合は出せないのでしょうか?

Posted by otutu at 2010/12/13 02:07:11 PASS:

仰るように、出場イニング数に対しての捕逸数のレートというのは捕手を評価する筋道としていくぶん強引かと思いますので、妥協的な計算なのは確かです。
ただしセイバーメトリクス的な評価の基本的な考え方として、勝利への貢献を実利的に捉える観点からすると重要なのは「キャッチング能力」といったものそれ自体を計測することではなく
捕手のプレーによって実際に試合にどのような影響があったかですのでその考え方からこのような評価法となっています。その意味で何らかの修正を施すにしろ実際の捕逸数がベースとなるのは変わらないかと思います。
結局、今回のような計算でもその目安にはなると考えました。
理想的には実際の投球の内容まで考慮できれば言うことはないでしょうが、そのようなことは残念ながら現実的には非常に難しいと思います(もちろん単にワンバウンドを止めた率を出すこと自体は手間をかければできるでしょうが、それを文句の出ない形で利得に変換することは)。

Posted by 蛭川皓平 at 2010/12/13 17:39:27 PASS:

「攻撃得点」「守備得点」と「総合得点」は、単純に比較するだけではなく、その所属チームそのものの「失点率」「得点率」と比較して、
「チームに対してどれだけ貢献しているか」
という比較にした方が良いような気もしました。これは捕手の守備にだけ言える事ではもちろんありませんが。

評価: Posted by いわん at 2010/12/31 15:55:31 PASS:

チームにおける影響力がわかりそうですね。意味のある比較というのは色々考え得ると思います。
さまざまな点数を基準にとって具体的な考察を行えるのもこういった評価法の強みです。
ただ指標の組成自体が一応context-neutral(チームなどの文脈に依存しない性向)になっているのでその点への注意は必要かもしれませんが。

Posted by 蛭川皓平 at 2011/01/03 00:01:59 PASS:

※盗塁死データの誤りにつきまして
2004~2010年盗塁死のLWTSを以前は-0.38で蛭川氏などに提供して分析を行って頂きました。再集計の結果、盗塁死の価値(-0.31)が大きく変わってしまった事をお詫びいたします。本コラムのBRに差が生じてしまうことになります。算出の過程でアウトの整理が上手く出来なかった事が原因となります。
今後このような事が無いようデータの扱いに注意を払います。
関係者の皆様ご迷惑をおかけいいたしました。

Posted by 岡田友輔 at 2011/02/18 16:23:15 PASS:

投手を捕球、けん制、バント処理と打撃だけ見て評価しても仕方が無いのと同じくらい、配球を抜きには評価できないと思います。難しいですが、投手の球種と球速、死球の数から標準的な捕手による防御率とその捕手による防御率の比較などはできないでしょうか。

Posted by はる at 2012/03/16 21:19:54 PASS:
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